スタッドレスタイヤから夏タイヤへの交換時期到来! 外したスタッドレスタイヤの寿命と保管方法

■来シーズンも使うための保管方法

 夏タイヤに履き替えて、スタッドレスタイヤのホイールセットが車体から外されたら、まずは隅々まで洗おう。

 ホイールはブレーキダストで汚れていたらカーシャンプーやクリーナーを使って落とし、タイヤは基本水洗いで泥や砂、埃などを落とし、カーシャンプーを使ったらよく洗い流す。これによりタイヤとホイールの点検も兼ねることができる。

 タイヤに釘などの異物が刺さっていないか、ホイール内側のサイドウォールにも傷など異常がないか、ホイールも傷やクラック、歪みなどがないか点検しよう。

 釘が刺さっていたら外からプラグを差し込むタイプのパンク修理でいいので、釘を抜いてパンク修理しておいた方がいい。水分の侵入などでスチールベルトが腐食すると、走行中にバーストする危険性が高まる。

 洗ったら、乾かして水分を無くしてからゴミ袋などの大きなビニール袋に入れて、日陰の涼しい場所に保管しよう。

 また保管時には、タイヤの空気圧を下げることも大事なことだ。

 クルマを支える必要がないので空気圧を高めておく必要はなく、むしろ空気圧を下げることでタイヤの構造材にかかるテンションを和らげて、負担を軽減することになる。

 ただし、空気を抜き過ぎると変形しやすくなって、後で再び履き替えても空気圧を高めても、しばらくは走行中に振動が出る恐れもある。目安は指定空気圧の半分ほどだ。

 それと油分によりゴムが溶け出して変質して劣化するため、油性のタイヤワックスを塗ったままの保管もお勧めできない。水性でもタイヤワックスは美観のためのもので、タイヤの保護には役に立っていない。

 また水に濡らしたり、湿気の多い場所も厳禁だ。水分により加水分解することもあり、さらに温度が高ければ、これらの反応はさらに活発になって劣化が早まってしまう。

 紫外線があたったり、温度が上昇する日光があたる場所や、オゾンを発生させるエアコン室外機のそばに保管するのも避けたい。

 ゴムは分子同士がつながる「架橋結合」となっているため、紫外線やオゾンといった刺激により分子同士のつながりが断ち切られてしまうと、やはり表面がヒビ割れてやがてボロボロになってしまうのだ。

 樹脂パイプ製のタイヤラックも効率良く収納するためには便利なアイテムだが、それは保管の環境を改善するというより、本来スペースが十分ではないところに置けるようにするために使われるケースの方が多い。

 自宅の収納スペースの関係上、そんなに環境の良い保管場所は確保できない、というケースも当然あるだろう。

 コンテナのレンタル収納スペースは便利だが、夏場は内部が高温になってしまうので、スタッドレスタイヤの保管スペースとしては正直に言って適してはいない。

 カー用品店やタイヤ専門店では、スタッドレスタイヤの保管サービスを行なっているところも多いが、そこでスタッドレスを購入する必要があるし、保管料もそれなり(5000円~2万円/年間)にかかる。

 自分にとって、何がベストか悩むドライバーも多いのではないだろうか。

■スタッドレスタイヤの寿命の見分け方

国産スタッドレスタイヤなら、経年劣化が出来る限り低く抑え込まれるよう設計されている。ただしそれでも油断できないケースは多々ある(kazuya asizawa@Adobe Stock)
国産スタッドレスタイヤなら、経年劣化が出来る限り低く抑え込まれるよう設計されている。ただしそれでも油断できないケースは多々ある(kazuya asizawa@Adobe Stock)

 前述の通り、国産スタッドレスであれば劣化防止剤などを添加することで、経年劣化を出来る限り低く抑え込んでいる。

 高温下で保管することで長期間の保管を再現した耐久テストでは、5年程度経過した状態でも1割程度のグリップ力低下に抑え込んでいることが確認できた。

 それでも実際の5年目のスタッドレスでは、さらに劣化が進んでしまうケースも考えられるし、摩耗によるサイプの短縮により氷雪路でのグリップは低下していくハズだ。

 また見た目に表面がヒビ割れていないから大丈夫、という訳ではない。

 ゴムの硬化とヒビ割れはどちらも劣化だが、同時に起こるとは限らない。細かいヒビ割れが発生していれば間違いなく劣化しているが、ヒビ割れていなくてもゴムが硬化している可能性はある。

 硬化しているかどうかは、硬度計を使って測るのが一番よく分かる。タイヤ専門店などで測ってもらい、ゴムの劣化を判断するといい。

 その状態でクルマに装着しても走ることはできるが、ロードノイズが大きくなったり、グリップ力の低下という形でタイヤ性能の劣化を感じることになるだろう。

 ともあれどんなタイヤでも新品時の性能をいつまでも維持できる訳はないから、考え方を変える必要がある。寿命の短いスタッドレスタイヤであればなおさらだ。

 とにかく圧雪路や凍った路面で滑るのが嫌なら、しっかりと雪が降った翌日は金属製のタイヤチェーンを4輪に装着するのも手だ。

 スタッドレスはあくまでドライな路面での快適性を維持しながら低温下での、氷雪路でのグリップ力を引き出すべく工夫されたタイヤであり、絶対的な走破性はタイヤチェーン、それも金属チェーンには敵わない。

 タイヤチェーンを脱着するのが面倒、というのであればより早いサイクルでスタッドレスを新品に履き替えるしかない。

次ページは : ■最新のスタッドレスタイヤを2~3年で買い替えることで安心を買える

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