■最新のスタッドレスタイヤを2~3年で買い替えることで安心を買える
そういう意味では2~3年で安いスタッドレスを買い替えるのも1つの方法ではあるが、そういう使い方では問題が2つある。
1つはタイヤ交換工賃がその分だけ掛かるので、意外と節約にはならないことだ。古いスタッドレスの処分費用も含めると、1台分のタイヤ交換工賃は1万円以上にはなる。
残るもう1つの問題は、廃棄されるスタッドレスタイヤも増える、ということだ。
まだ使えるスタッドレスであれば中古タイヤとして流通することも考えられる(それを購入して履こうというのはお勧めしない)が、最終的にはタイヤは燃料やコンクリートの原料として燃やされるのが大半だから、出来る限り廃棄されるタイヤを減らしたいものだ。
またタイヤ業界全体の取り組みとして、理想としてはスタッドレスタイヤにはしっかりとした構造を与えて、トラックの更生タイヤのようにトレッドゴムを何度か貼り替えて使えるようにするべきではないだろうか。
高い高速性能を求めず、トレッドゴムの劣化により交換を余儀なくされるのであれば、その方が合理的だ。
話を現実のスタッドレスタイヤに戻そう。劣化したスタッドレスタイヤでもタイヤチェーンを組み合せれば、氷雪路での性能は確保できる。これによって実質的にスタッドレスタイヤの使用年数を延ばすことも可能だ。ただしチェーン脱着の手間は覚悟しなければならない。
結局のところスタッドレスタイヤにどれだけ費用をかけるか、というのは自動車保険と同じようなものだ。
絶対の安心感を得たいのであれば、最新のスタッドレスタイヤを2~3年で買い替えることを続け、金属タイヤチェーンも併用すれば完璧だ。
摩耗限界まで使えることは、ほとんどないだろう。ちなみにスタッドレスタイヤには2段階の摩耗限界を知らせるインジケーターが備わっている。
1つは夏タイヤにも備わるウエアインジケーター、通称「スリップサイン」と呼ばれるブロックの境目が無くなる盛り上がった部分だ。
これは残り溝1.6mm以下になると現れるもので、車検に合格できなくなるだけでなく、走行中にも取り締まりを受けて整備不良で検挙される可能性もある。それに何よりウエット性能が大きく低下しており、雨の日の走行は危険だ。
もう1つが「プラットフォーム」と呼ばれるもの。これはサイドウォールのホイールに近い内側に4箇所、刻まれる矢印が目印で、その部分のトレッド面にノコギリ状の短い突起がブロックの間を走っているハズだ。
これは残り溝が50%以下になると現れるもので、冬タイヤとしての使用限界を示すサインだ。
プラットフォームが現れてからも、夏タイヤの代用として公道を走ることはできるが、グリップ性能などは夏タイヤに及ぶべくもないから、安全のためには夏タイヤに履き替える方がいい。
夏もそのまま履きつぶして冬に新品のスタッドレスに履き替えるのは最近トラック用タイヤで利用されているが、乗用車の夏タイヤはグリップレベルだけでなく、快適性も高いレベルが要求されるので、まだ技術的にその領域には達していないのである。
安全と快適のために、適切な交換時期に十分な性能を確保したスタッドレスと夏タイヤを履き替えて使うのが、現在の乗用車ではベスト。
どちらもほどほどの性能で十分ならオールシーズンタイヤという選択肢もある。
【画像ギャラリー】今だから知りたい スタッドレスタイヤの危険のサイン・寿命を延ばす保管方法をギャラリーで時短チェック!(6枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方