ハイエースら愛すべき“世界展開車”たち! 世界で売っても日本を見捨てない!!  

売れる車ならではの多彩さ光るノート

2018年上半期の登録車販売No.1モデル、ノート。国外でも販売されるが、日本仕様にも積極的に改良や追加モデルを投入する数少ない日産車だ

日産の国内販売の約3分の1を占め、登録車の販売台数では1位になることもしばしばあるコンパクトカーのノートは、米国やメキシコといった北米でも販売されている。

排気量の大きい車が好まれる北米では1.6LのNAエンジン仕様で販売されるノートだが、日本仕様は2012年の登場当初から1.5L級の動力性能を持つ1.2Lスーパーチャージャーを設定。
それだけでなく、1.6L+5速MTのNISMO Sを筆頭とするスポーツモデルのNISMOを追加し、2016年には現在のノート人気の牽引車となった2モーターハイブリッドのe-POWERを追加。
さらにダメ押し的に2017年には停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールやクロスオーバー的な「シーギア」、2018年にはe-POWERの4WDも加わり、コンパクトカートップのワイドバリエーションを誇るようになった。

これだけ手厚いノートの扱いは「売れる車ならではの好循環」、あるいは「これだけ手厚ければそりゃ売れるだろう」と見方は分かれるだろうが、いずれにせよ日産が日本向けのノートを大切にしている証ではある。

意外!? アテンザには日本への配慮感じる発売時の逸話も

全長×全幅×全高:4805×1840×1480mmと、日本向けとは言い難いサイズながら、ディーゼルエンジン&MTの組み合わせを日本導入した裏にはちょっとしたエピソードがある

アテンザは欧州でいう「Dセグメント」に属する、全幅1800mm超のセダン&ステーションワゴンで、日本向けとは言いにくい車だ。

ではどこに日本市場への配慮を感じるのかというと、スバリ2.2Lディーゼルエンジン+6速MTの設定だ。

というのも2012年の登場時、ディーゼル+MTは開発責任者の梶山氏が「自分が買いたいアテンザは輸出仕様に設定されるディーゼル+MTだ!」と半ば強引に設定したもので、日本ではいかにも売れる見込みのない仕様だけに「月に5台売れれば」という想定であった。

しかし、フタを開けてみるとディーゼル+MTはアテンザの10%、20年分以上の受注(!)を集めてしまった。

実際に乗ってみてもアテンザのディーゼル+MTは、自分でエンジンをコントロールしている楽しさが濃厚に感じられ、乗り方次第では燃費もATを上回り、「エコで楽しい」という魅力を持つ。

アテンザのディーゼル+MTの成功は、間接的にマツダが日本メーカーの中では積極的にMTを設定する動きにつながったように思う。

これは「マニアックでも魅力的な車なら日本でも売れる」という1つの証明と言えるのではないだろうか。

「世界ではシエラ、日本では軽」のジムニー

登録車版のジムニーシエラ(左)と軽自動車版のジムニー(右)。当然、軽規格がない海外ではシエラが主役だが、日本では軽枠のジムニーが主役で新型も人気。国内外で支持を集める1台だ

20年振りのフルモデルチェンジで納車1年待ちとも言われているジムニーは、日本では軽乗用車のジムニー1万5000台、登録車のジムニーシエラ1200台という年間販売目標台数を見てわかるとおり、軽乗用車のジムニーが主役である。

しかし、世界中で満遍なく売れているジムニーを広い視野で見れば、その主役はシエラである。

それでも軽乗用車のジムニーがあるのは、軽の恩恵も含めてハイエースと同じように「長いモデルサイクルで堅調に売れるから」と言ってしまえばそれまでかもしれない。

しかし、それだけでなくジムニー自体に強い魅力があるうえに、軽乗用車のジムニーは軽サイズでないと入れない林業や北海道の郵便局などにも使われる生活必需品でもあり、全体的に庶民の生活に根付いた車を作るスズキはやはり偉大だ。

◆  ◆  ◆

 このように必ずしも日本専用車でなくとも、入念な配慮を行えば日本を含めた世界中で売れる車にすることも可能だ。

今後世界的に販売される日本車には、日本向けにも何らかの配慮を行ってもらい「海外向けだから日本で売れないのも仕方ない」などと言われることがないよう頑張ってもらいたいところだ。

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