■追求された走りの深化
走りの面に関しては、「Always On」の思想の元、年次改良で地道な質の向上を行ってきたわけだが、今回の変更は年次改良を大きく超えたインパクトのあるものになった。
サイドドア、バックドア周辺の開口部ではスポット溶接を20か所追加。電動パワステとダンパーは再チューニングを施している。テスト走行の舞台は、下山テクニカルセンターだ。
F SPORTではステアリングギアにブレースを追加し、標準モデルよりもさらに操舵応答性を高めた。
パフォーマンスダンパーやAVSもリセッティングしているというから、今回の改良に対する気合の入り方が尋常ではないことが分かるだろう。
レクサスのこだわりである静粛性は、より高みへと到達している。18インチのランフラットタイヤが新開発され、HEVで気になるロードノイズをさらに低減させたようだ。
レクサスは、各車の改良について、モデルサイクルなどにはとらわれず、適宜必要な時に、必要な部分を改良・変更していくスタイルをとるようだ。
UXは、既に登場から3年半が経過し、フルモデルチェンジが行われてもいい時分でもあるが、フルモデルチェンジ・マイナーチェンジ・一部改良といった概念にとらわれず、Always Onで進化していくのが、レクサスの考え方である。
適時の改良により、特別仕様車やUX300eを登場させてきたUXだが、今回あえて「新型」と銘打ったのは、その本気度合いを知ってもらいたいという表れか。
デザインもプラットフォームも大変革しないため、見た目は一部改良に近いが、クルマの内容は十分すぎるほどアップデートされ、磨き上げられた。
レクサス流の新しいモデルチェンジのカタチがUXにより示されたのだろう。進化と深化の度合いは、現車でもしっかりと確認して行きたい。
今回発表されたのはガソリンエンジンのUX200と、HEVのUX250hに対する情報だけだ。UXシリーズには、BEVのUX300eが残っているが、こちらは別途、改良が発表されるだろう。
ただ、レクサスのモデル一覧では、UXとUX300eは別モデルとして切り離されている。改善される方向性は同じだと思うが、ガソリンエンジン搭載車とBEVでは、走りや音に対する改良のアプローチが変わってくるはずだ。
UX300eの改良については、今後の発表を長い目で待つべきだと思う。
■NXとの棲み分けはより明確になった
兄貴分のNXとは、ボディサイズや価格で大きな差をつけており、基本的には格下として扱われる立場のUXだが、NXに対して優位に立っているポイントもいくつかある。
例えば、全幅を1840mm、全高を1540mmに抑えていることで、機械式駐車場へスムーズな入庫が可能だ。
特に都市部で都市型SUVを保有したいというユーザー層にとって、UXのサイズ感は手を伸ばしやすいだろう。
NXは、現行モデルになってかなり大きくなりすぎた感じもある。
パワートレインにはPHEVを採用するNXだが、UXには早くからBEVが備えられていた。先ごろ、BEV専用車の「RZ」が登場したが、BEVに注目が集まる今だからこそ、UX300eの存在を見直していきたいところだ。
UXなら「version C」で580万円、上級グレードの「version L」でも635万円でBEVに乗れる。1000万円近いと噂されるRZよりも、BEVの実質的な選択肢となるのは、UX300eではないだろうか。
大きな変化やゆとりを感じながら、プラグインハイブリッドの利便性をとるならNXになるし、地道な改良と堅実性、そして手が届くBEVと考えるとUXがピッタリだ。
UXがキープモデルで改良されたことにより、NXとの違いはより明確になった。小さい・安いからダメではなく、小さくて安いことがUXの利点であろう。
このポイントを「有利」と捉えられればUXを選択し、「不利」と感じるならNXを選べば、自ずと満足度は高まるはずだ。
昨今、新たな仕掛けを連発するレクサス。UXに対するチャレンジは、どのような結果を生むのだろうか。今夏の登場を楽しみに待ちたい。
【画像ギャラリー】レクサスのコンパクトSUV UXが「新型」へ!! 兄貴分「NX」とどっちがいい? ギャラリーで見比べチェック(30枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方