■細かな変更に対応できない! 紙カタログはデメリットもたくさん
魅力的な紙カタログなのだが、販売店にとってはデメリットも多い。
まずは、小変更に対応しにくい点だ。フルモデルチェンジやマイナーチェンジなど、ある程度大きな変更であれば仕方ないが、一部改良でもカタログの中身はもちろん変わる。これに応じて、カタログは新しいものに差し替えられるのだ。余った古い情報のカタログは、全て廃棄される。
さらに、商談スペースにあるカタログ棚や、カタログの在庫を保管する場所を確保しなければならない。カタログが無ければ、商談スペースを広くとったり、展示車をもう1台入れることができたりするかもしれないが、こうしたスペースがカタログによって無くなっているのもまた事実だ。
新しいカタログが届けば、販売店独自の仕様表や価格表等を差し込み、販売店のスタンプやシールを貼って提供する。これもまた人力であり、大型モデルチェンジの際には、店舗スタッフ総出でカタログ作りをしなければならないこともあるのだ。紙カタログがあることで、販売店の仕事は増える。
意外と高いのがカタログの仕入れ価格だ。アクアやプリウスなどでは、1冊300円から500円程度、アルファードやクラウンになると600円から1000円弱、センチュリーでは1冊がハードカバーの書籍程度の値段になる。
販売店は、カタログを数十種類仕入れて、ユーザーには無料で配っているのだ。そしてクルマの改良により廃棄される。販売店の経済負担は、想像よりも大きいものだろう。
楽しさ、ワクワク感はあるが、コストの面や環境問題への取り組みなどを考えると、紙カタログは廃止の方向へ向かっていくのが自然だ。絶版車、過去モデルのカタログに関してトヨタは、新車ページとは別に、カタログデータを保管するページを設け、ユーザーへ公開している。
ページをめくる楽しみが無くなってしまうが、カタログは電子媒体として残るだろう。写真や情景づくりに凝った、カタログのカタチは変えず、これから読み手を楽しませるものであってほしい。
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