■WiLL Vi、VS、サイファ
1998年に発足したWiLLはトヨタ、花王、アサヒビール、当時のパナソニック、近畿日本ツーリスト(後にコクヨ、江崎グリコも加わった)から構成される、異業種合同プロジェクトである。
WiLLは当時の20代から30代を対象に、新たなマーケティング手法を共同で開発することを目的に発足したものだった。そのため、トヨタはWiLLブランドのモデルはリリースしたが、ここに名前の挙がった企業とはマーケティングを共同で行ったことはあったとしても、クルマ自体で共同作業を行ったわけではなかった。
トヨタのWiLLブランドのモデルとしては初代ヴィッツベースで内外装にカボチャの馬車の雰囲気を持つVi(2000年)、カローラランクスをベースにステルス戦闘機をイメージしたVS(2001年)、初代ヴィッツベースで「ディスプレイ一体型ヘルメット」というデザインテーマを持つサイファ(2002年)があった。
3台とも成功せず短命に終わったが、サイファには現在のクルマのコネクテッド機能に通じるG-BOOKの搭載、クルマのサブスクに通じる走行距離に応じた課金制リースという提案もあり、それなりの存在意義があったと言える。
なお、WiLL自体も早期にプロジェクト解散となり、現在WiLLの名前を使っているのはコクヨの文房具のごく一部だけである。
■ヤマハ
楽器やオーディオのヤマハと、バイクや船などのヤマハ発動機は、自動車業界、特にトヨタとの関係は多岐に渡る。
古くはトヨタ2000GTの2L直6DOHCエンジン、インテリアのウッドパネルやウッドステアリングなどの共同開発、生産が有名だ。
スポーツ系のトヨタ車のエンジンを見るとYAMAHAの文字をよく見るように、ヤマハは1G-GE(2L直6)、3S-GE(2L直4)、4A-GE(1.6L直4)、1JZ-GTE(2.5L直6ターボ)、2ZZ-GE(1.8L直4)、2UR-GSE(IS Fなどの5LV8)、新しいところではFR車用の8AR-FTS(2L直4ターボ)といったスポーツエンジンの開発に多大に貢献している。
また、平成の2000GT的存在でもあるレクサスLFAでは、ヤマハは1LR-GUE型エンジン(4.8L・V10)の共同開発に加え、レクサスが「天使の咆哮」と呼ぶ官能的なサウンド作りにも楽器などのヤマハは参画した。
ヤマハはサスペンションやボディといった分野でも精力的に自動車メーカーとコラボしている。
サスペンションで代表的なのが前後輪の左右のダンパーを連結するより適切な減衰力を出すことでハンドリングと乗り心地を向上させる「REAS」で、REASは80スープラの最終型や2000年にマイナーチェンジされた180系ハイラックスサーフに採用された。
筆者はREAS付きの80スープラに乗ったことがあるが、もともと高かった80スープラのスタビリティがさらに向上し、乗り心地も素晴らしく実に快適だった記憶がある。
REASは対角線上のダンパーを連結するX-REASに進化し、X-REASは170系クラウンの特別仕様車アスリートVX、210系ハイラックスサーフ、FJクルーザー、アウディRS6などに採用された。
ボディ関係ではダンパー付きの補強パーツとなるパフォーマンスダンパーだ。パフォーマンスダンパーはボディを固めるだけでなく、「しなやかさも持つ」という特徴によりクルマの動的質感を向上させるという効果を持つ。
パフォーマンスダンパーは前述の170系クラウンアスリートVXに新車装着されて以来、2代目インプレッサWRX STIのスペシャルモデルとなるS204などなど、未だ新車装着されているのに加え、アフターパーツも多数ある。
最後にヤマハとトヨタのコラボカーには、81系マークII2.5GTツインターボヤマハコンセプト、110系マークIIフォーチュナーヤマハパワーなどがあり、ヤマハとトヨタをはじめとした自動車業界とのお付き合いは今後も末永く続きそうだ。
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