マツダの野心的なラージSUV、CX-60が発表になった。国内発売は今秋だが、エクステリアやインテリアは完全に公開されている。
人形もクルマも顔が命。いや顔だけじゃないですね、全体の見た目が命です。その第一印象はどうなのか、デザインにうるさい清水草一がブッタ斬る。
文/清水草一、写真/MAZDA、池之平昌信、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】進化を遂げた鼓動デザインが美しい「CX-60」とランドローバーのデザインを活性化させた「ディフェンダー」(27枚)画像ギャラリーマツダ新SUV CX-60のデザインは「引き算の美学」?
CX-60の写真を一目見て、正直、特に強い思いは湧かなかった。これまでのマツダのSUV同様、デザインの質は非常に高いが、完全に統一されたイメージ上にあるので、意外性はほとんどない。
あえて特徴を挙げると、グリルとヘッドライトをつなぐメッキ部が長いことで、目尻が印象的であることと、ラージクラスらしい、堂々としたぜいたくなフォルムを持っていることだろうか。
マツダのSUVのデザイン的な統一感は、ランドローバー/レンジローバーのラインナップに近い。あちらもデザインの質の高さは超絶レベルだが、どれもこれも超絶レベルなので、どれを見ても特段の特徴はなく、ユーザーはサイズや用途でモデルを選択すればそれでヨシ、ということになる。マツダのSUVもまったく同じだ。
世界の自動車業界のなかでも、レンジローバー/ランドローバーは、スーパー級のデザインレベルを誇っている。マツダがそこに迫っていることは、日本人として大変誇らしいが、カーマニアとしては、どうにもならない「押し」の弱さも感じている。
CX-60のデザインは、マツダのデザインテーマ「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」をさらに進化させたもので、自然と調和する日本人の感性を生かしたタフさと緻密さを、その骨格や空間構成から表現している。マツダのプロモーションビデオによると、それはどこにも余計なエッジやラインを持たない「引き算の美学」である。
その点でも、ランドローバー/レンジローバーのデザインに近い。たとえば新型レンジローバーを見ると、恐ろしいほど余計なエッジやラインがない。CX-60のようなパネル面のうねりすらない。どこを見てもパーンと張った曲面だけに近いのだから、すさまじい「引き算の美学」だ。
それでいて、これだけ堂々と見えるのは、堂々たるサイズもあるだろうが、戦慄すべきデザイン力と言わねばならない。
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