スバル XV/2017年5月発売
スバルグローバルプラットフォーム(SGP)を採用した現行型インプレッサの出来があまりに良かったもので、それをベースに仕立てたXVもきっと良いに違いないとみんな思っていたはずだし、筆者もそう思っていた。
ところが、いざ乗ってみると、概ねよい印象は変わらないものの、乗れば乗るほどにどことなく違和感を覚えるようになった。
まっすぐな道をごくふつうに走っているぶんには問題なく、直進性は高いのだが、どうもコーナーでのロールの仕方がしっくりこない。
ベースであるインプレッサ、とりわけセダンのG4で味わった、あの素晴らしい感覚とは何か違う。どことなく足まわりが突っ張っている感じがするし、ロール軸(=前後のロールセンターをつないだ線)が適正でない感じもする。
聞いたところでは、日本仕様のXVは機械式タワーパーキングに対応するため、欧州仕様よりもローダウンされ、最低地上高が20mm小さい200mmになっているらしい。そのせいだ!
ちなみに、雪道ではより顕著にその症状が出て、前輪に荷重をかけにくく、操舵に対する応答性が悪くグリップ感が乏しくなるという話を耳にしている。
おそらく最低地上高220mmの欧州仕様なら全然違うはず。そっちを日本でも何らかの形で選べるようにするといいのに…。
トヨタ カムリ/2017年7月発売
初のフルTNGAとしてのドライバビリティの進化と、「ビューティフルモンスター」を謳うスタイリングが絶賛されたのも記憶に新しい。
北米ではすでにベストセラーカーとして知られるが、日本向けの車ではないとか、日本でセダンは売れないなどいろいろ言われながらも、そこそこ堅調に売れているのは立派だ。
走りの実力もなかなかのものだ。TNGAによる基本骨格の進化が効いてか、ハンドリングの仕上がりは上々で、リニアさに欠けることが指摘されがちだった従来のTHSとは別物だ。
欧州市場にも復活するらしいが、それは走りの本場の欧州でも通用するというトヨタの自信の表れに違いない。
では、登場から1年あまりが経過してどうか? 気になる点として挙げられるひとつに、エンジンがかかったときに意外と騒々しいということがある。さらには小回りが利かないこと。最小回転半径が5.7m以上というのは、たしかに大きい。
あとは、乗り込んでしまうと車内は広いが、乗り降りする際に窮屈さを感じること。車高が低まり、ドア開口面積も心なしか小さくなったような気もするのでやむなしか。
装備面では、この価格帯なのだから、オートワイパーとシートメモリーぐらい付いていて欲しいということ。ちなみに北米仕様にはちゃんと設定がある。なぜ日本仕様にはないのだろうか。
ホンダ シビック/2017年10月
いまさら日本で売れるのか? というが下馬評が大方だったところ、これまで3タイプ合計で月に1500~1600台前後をコンスタントに販売しており、まずまずではないかと思う。
実際、車の完成度は非常に高く、業界内での評価も上々だ。なにせ2年前には北米COTYを受賞したほどで、その実力はすでに折り紙付き。
実際にドライブしても、その仕上がりはなかなかのものだ。しっかりとした車体の剛性感と、グリップ感が高く一体感のあるハンドリングには舌を巻く。タイプRでなくても、そのよさは十分に味わえる。
動力性能もなかなかの実力の持ち主で、1.5L VTECターボは、ハイオク仕様のハッチバックではなおさらだが、中回転域から力強くトルクが盛り上がり、トップエンドにかけて伸びやかに吹け上がる爽快な加速フィールを実現している。ハッチバックではMTを選ぶこともでき、販売比率も高いそう(編注:MT比率は約3割)。
ただし、そのMTについて少し気になる点がある。
まず、2速と3速のギア比が離れていて、3速のままでどこでも走れる感じなのはよいが、2速だとエンジン回転が上がりすぎる感もあり、せっかくの素晴らしいシフトフィールを味わう機会が結果的に減りがちになる。
また、ややオーバーシュート気味に過給しているせいか、アクセルワークに対する反応がリニアでなく、繊細な運転ができない。さらには、アクセルオフしたときの回転落ちが遅いのも気になる。これらもMTを楽しむ上で非常に重要な要素だ。
登場直後はMTが選べること自体にワクワクして見落としていた人も多いかと思われるが、実のところそんな状況だ。
エンジン制御については、燃費や排ガスの面でやむをえない事情があったようだが、ホンダの開発関係者も認識しているらしく、対応を検討中とのこと。せっかくMTを選ぶ愛好家のために、ぜひ早期の改善に期待したい。
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