■当然のようにススメられるが利益率は超低かった……
「営業マンが勝手に入れている」「強くおススメされたから」というユーザーの意見があるサイドバイザー。ユーザー側のとらえ方としては、利益率が高い商品をオプションで入れて、販売店の利益につなげているのだろうといったところだろう。
実際にサイドバイザーの利益は、それほど大きくはない。ヤリスクラスで部品代が15,000円(税抜)、アルファードクラスでは28,000円だ。取り付けにかかる時間はヤリスが0.3h、アルファードが0.4hとなっている。
販売価格(商品+工賃)から仕入れ原価を引いた単純な利益は1万円あるかだ。サイドバイザーよりも簡単に注文が見込め、さらに利益率が高い商品は山ほどある。販売店利益のために、営業マンが必死にサイドバイザーを売っているという話は、ちょっと理屈が通らない部分が出てきてしまう。
■付けなかったら大クレームに? サイドバイザーはクルマの一部
筆者の営業マン時代、サイドバイザーを巡って大問題が発生した。新車見積りを作った際に、お客様へサイドバイザーの装着が必要かどうかを1件1件確認していた新人の筆者。
新車見積時にはサイドバイザーを使う必要はないと話していたお客様だったので、契約に至るまでサイドバイザーはオプションリストに入れずにいたのだ。
そして納車の日を迎える。注文した新車を見て開口一番にお客様は「ドアバイザーが無いじゃないか、おかしいぞ」と大騒ぎ。
筆者は、注文書を確認しながら、「ご不要だと伺いましたのでオプションでは入れておりません、契約の際にもオプション一覧でご説明しましたが」と話をすると、「ドアバイザーは標準でついているものだろ、それがないのはおかしい。不良車だから受け取らない」というのだ。
ありえない、と思う方もいるだろうが、サイドバイザーを日本のクルマの標準装備と思っているユーザーは一定数いる。
この問題が起こった後、筆者がトヨタで作る見積りでは、必ずサイドバイザーをデフォルトのオプションとして入れておき、ユーザーから明確に不要であるという意思表示をもらった時に削除するという手法を取るようになった。
サイドバイザーの装着率が下がらないのは、喫煙者や利益率云々という話もあるが、日本の自動車ユーザーが、サイドバイザーをクルマの初期装備と考えているという点も大いに関係していると思う。「当たり前」という思いが生み出した不思議な現象は、サイドバイザー装着率という数字に、大きく表れている。
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