【代替わり、販売減、絶版へ】 哀しき運命を辿った“自滅”グルマ 8選

【代替わり、販売減、絶版へ】 哀しき運命を辿った“自滅”グルマ 8選

 最近、自ら滅してしまったんじゃないかと思えるような“自滅型”の日本車が、かなり目につく。

 その要因の多くが、「発売当初は日本でかなり売れていたけど、代替わりするたびに海外市場ばかりに目を向け、サイズが肥大化するなど日本市場に合わなくなった」こと。そうなると、“販売激減” → “絶版”という運命を迎えることもある。

 日本市場、あるいは我々日本のクルマ好きから見ると、それらは“自滅したクルマ”という表現も当てはまる。

 重い“入り”になってしまったが、もちろんそれはクルマたちだけが悪いわけではない。その多くはメーカーが懸命に戦略を練り、前を向いて突っ走ったがゆえの結果だ(それにしては「あんまりじゃない?」と思うケースもないではないのだが)。

 では何が悪かったのか。いや誰も悪くないのか。

 さぁ、ここからは、下のリストの国産絶版車、最近国内販売が低迷中の日本車のなかから8台が登場。クルマの横顔&概況を紹介しつつ、ノムさんも真っ青のボヤき節、「自滅の心境」を(勝手に状況から想像して)語ってもらった。

※本稿は2018年9月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2018年10月26日号


■トヨタ RAV4 (登場年 1994年絶版年 2016年)

■弾けた初代。が、代替わりで魅力が薄れる。「最初はモテモテだったのに~」

「身内のヴァンガードも一緒におサラバでした(涙)」

■RAV4氏の横顔&概況

 1994年に発売された初代RAV4は、5ナンバーサイズの軽快な3ドアボディにより、若年層も含めて大ヒット。シティ派SUVの先駆けだった。しかし、しかし。2代目、3代目とボディを拡大して全幅が1800mmを上回り、売れゆきも減。2016年に3代目が生産を終え、国内から撤退という末路に。

■RAV4氏、自滅のボヤき節

 最初に登場した時、そりゃ僕はカッコよかったですよ。それまでにないスタイルが新鮮で、女子にも大人気でいい思いをしちゃいました(CM登場の木村拓哉クンの恩恵もありましたけどね)。

 ところがですよ。2代目で3ナンバー車になり、2005年の3代目では海外志向が一層強まりスポーティ感が薄れる。

 加えて2007年には、あろうことか僕のロング版を豪華にしたヴァンガードも発売され、こっちは後席が広く3列シートまで用意されちゃ、かないませんよ。親(トヨタ)の考えが理解できないですよ!

 で、結局その身内(ヴァンガード)と人気を奪い合い、共倒れになりました。あ~あ。

(※なお、アメリカではRAV4は売れ続け、2019年春には日本市場に凱旋帰国し、復活販売。捲土重来を期します。果たして売れるのか!?!?)

■トヨタ イスト 登場年 2002年絶版年 2016年)

■初代の新風はどこへ? 北米好みの2代目は「ブサイクで上等よ」と暴れる

「北米ではこれが好みでも、日本じゃイケてないよな」

■イストくんの横顔&概況

 初代イストは、初代ヴィッツをベースにしたクロスオーバー風の上級コンパクトカーとして2002年に発売され、堅調に売れた。が、2代目は、北米でサイオンxDとしても販売され、全幅が1725mmに広がって3ナンバー車に。

 大胆な形状のフロントマスク、太いCピラーなどが日本人の好みに合わず、売れゆきを落とした……。

■イストくん、自滅のボヤき節

 俺っちは登場した時、人気者だったんだよ。初代ヴィッツはどっちかといえば女の子風で、こっちは男子風な感じだったし。で2001年、初代フィットが発売され、2002年には国内販売の1位だったんだけど、ヴィッツと俺っちはその独走を食い止めたんだよね。

 2代目ヴィッツが質感を一層高めたから俺っちも期待した。でも内容はガッカリ。2代目は「イケメンがブサイクになった」と言われ人気もガタ落ち。ブサイク上等よ、あばよ! と去っちまったよ。

■マツダ プレマシー 登場年 1999年絶版年 2018年)

■一気にサイズアップの2代目。「マツダの今を支えていたのに、悔しい~」

「親からの「ミニバンや〜めた」のひとこと、キツかったです」

■プレマシーさんの横顔&概況

 ミニバンの人気が急上昇した1999年に初代モデルを発売。

 コンパクトなのに3列シート、当時注目された。2005年に2代目になり、全高を1700mm以下に抑えながら後席のドアがスライド式へ変更。

■プレマシーさん、自滅のボヤき節

 2代目は躍動感のあるスタイルに、スライドドアを組み合わせました。実はこれ、難しい設計でした。MCでは操舵感と走行安定性を洗練させ、このセッティングが今のマツダ車の味つけに繋がっている。役立っているんですよ、私は。そして評判も上々。

 それなのに、親(マツダ)から「ミニバンはや~めた」との宣告。背の高いボディがマツダの魂動デザインに合わない…が理由のひとつ。悔しい。で、私の引退後のマツダ車、どれも外観が似た退屈な集団になったと思いません?

■日産 シルフィ 登場年 2000年2018年1〜8月累計販売台数 1639台)

■名前からブルーバードが消え、守護を失ったか。「初代の5ナンバーに戻りたい」

「最初からエコカー減税対象外なんてヒドイです(3代目)」

■シルフィさんの横顔&概況

 初代と2代目は、ブルーバードシルフィと呼ばれる5ナンバーサイズのセダン。特に2代目は、5ナンバーセダンで最大級の居住空間を備え、評判も高かった。これに続くのが現行の3代目で、車名はシルフィに。全幅が広がり、3ナンバー車になった。

■シルフィさん、自滅のボヤき節

 源流はあのブルーバード。その後光もあり、サニーベースの初代ブルーバードシルフィは注目を浴びました。内外装が豪華志向で堅調に売れ、2代目はLサイズセダン並みの居住性もあり、やはり人気が高かったのです。5ナンバーサイズが日本に合っているのを肌で感じたものです。

 ところが、です。今の私は3ナンバー車となり、法人のお客様も選びにくい状況に。加えて1.8Lエンジンは非力です。さらに発売された2012年当時、エコカー減税対応が重要だったのに私は最初から減税ハズレ。この先、自滅するんじゃないかと心配な日々を送っています……。

■スバル クロスオーバー7 登場年 2008年絶版年 2018年)

■遅すぎた登場の乗用タイプミニバン。「最新のアイサイトもないんだもの…」

「熱が冷めた時期に私を出した親の意図が知りたいねぇ」

■クロスオーバー7くんの横顔&概況

 2008年にミニバンのエクシーガとして発売。全高を1700mm以下に抑えたワゴン風のボディで個性的スタイル。2015年に大幅な改良を受け、外観をSUV風に変更したクロスオーバー7に発展した。

■クロスオーバーくん、自滅のボヤき節

 最初にエクシーガとして発売した時、仲間のミニバンから「大遅刻だぞ!」と叱られたんだよぉ。背の低いヒンジドアのミニバンは、ウィッシュ、ストリームなどがすべて2003年までの発売だからね。

 それで私が登場した2008年は、すでにそれらの人気が下火に。親(スバル)はどういう戦略なんでしょねぇ。ただでさえスバルのお客様はミニバン嫌いが多いのに(苦笑)。その後SUV風のクロスオーバー7に変身して戦ったけど、武器のアイサイトは古いバージョン2で負けました(涙)。

■レクサス HS250h 登場年 2009年絶版年 2018年)

■華々しく誕生も、身内SAIの登場で存在薄し。「生意気よね、あのオンナ!」

「アメイジングな改良もなく終わってしまったワタシ」

■HS250h女史の横顔&概況

 レクサスのミドルサイズセダン。全高は1500mm前後に達し、車内の広さはLサイズセダン並み。登場当初、特に後席の快適性は注目を集めた。2.4Lのハイブリッドのみを搭載しており、基本部分を共通化した姉妹車にトヨタSAIもあった。

■HS250h女史、自滅のボヤき節

 こう見えてもワタシ、2009年の発売直後は1カ月2000台前後も売れたのよ。でも、義妹のSAIが出てきたせいですぐ販売減。ウキ~ッ、生意気よね、あのオンナは。

 全高が高めで車内の広さが自慢だったけど、セダンでこの高さは逆に中途半端。「カッコ悪くてセダンに見えない」とイケてないの連発よ。そこで、思いきってMCでスピンドル風グリルを装着したけど、造形バランスが一層悪化と大不評よ~。どんだけ~。

 カムリが新しい2.5Lハイブリッドを搭載するなど、身内は進化しているけど、ワタシはアメイジングな改良もなく終了。もう、イヤッ。

■ホンダ アコード 登場年 1976年2018年1〜8月累計販売台数 1240台)

■コンセプトがぶれまくり、「自分自身が情けない。このままでは自滅です」

「親(ホンダ)の都合で方針がコロコロ変わる私っていったい…」

■アコード翁の横顔&概況

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