住環境などによって、愛車の駐車場所は様々だ。きちんと平置きの駐車スペースが取れることが理想だが、必ずしもそうなるとは限らない。
一軒家の場合、浸水を嫌って建物が小高い場所にあることが多いが、道路へ出るための狭い斜面に駐車するしかない場合もあるだろう。あるいは全体的に傾斜した立地では、駐車場所として斜面しか取れないなんてことも。
こういった場合、もちろん安全面も心配ではあるのだが、常に傾いていることでクルマ自体にも悪影響がありそうだ。今回は傾斜付き駐車場についてまとめてみた。
文/藤田竜太、写真/Adobe Stock(トップ画像=xiaosan@Adobe Stock)
■「傾き」のある駐車場に車を置くリスク
クルマを止めるスペースというのは、できるだけ真っ平らな方が望ましい。特にマイカーの駐車場となればなおさらだ。しかし世の中には前後左右に傾いている駐車場だって少なくはない。こうした傾斜付きの駐車場に止めるリスクにはどのようなものがあるのだろうか。
まずいえるのは、傾斜=重力に抗するために平地よりも動かす際に勢いが必要で、アクセルを深く踏み込む必要がある。これが思わぬ急発進につながることがあり、輪止めを越えてしまう危険がある。
次に、傾きの影響でドアが勢いよく開いてしまったり、閉じたりしてしまうことがあるので、これも十分注意が必要だ。とくにドアを周囲の壁などにぶつけてしまうことや、指を挟まれるケースがあるので気をつけよう。
もうひとつ、サイドブレーキなどが甘ければ、クルマが勝手に動きだしてしまう可能性だってある。
電動パーキングブレーキならば、ボタンひとつでしっかりブレーキがかかるだろうが、それ以外のクルマはきっちりパーキングブレーキをかけた上で、AT車ならギアを「P」に、MT車なら1速もしくは「R」に入れるようにしよう。場所によっては樹脂製のタイヤストッパーなども併用した方が安心だ。
また、傾斜付きの駐車場に止めっぱなしで、一週間に一度ぐらいしかクルマを動かさないという人はクルマのメカニズムへの悪影響も考えておく必要がある。
傾いていると、人間の場合でも悪影響があることがわかっている。日本建築学会の調査によると、住んでいる家の床がわずかでも傾いていると体調不良が見られるというのだ。
傾斜が0.6度程度だと、めまいや頭痛を感じる人がいて、1.3度で牽引感、ふらふら感、浮動感、2~3度でめまい、頭痛、吐き気、食欲不振、4~6度で強い牽引感、疲労感、睡眠障害、7~9度で牽引感、めまい、吐き気、頭痛、疲労感が強くなり、半数以上で睡眠障害などがあったという……。
クルマの場合、そこまでダイレクトに傾斜が故障や不調を引き起こすことはないだろうが、長い目で見るとあまり好ましいことではない。
例えば傾いた場所に長時間駐車していると、タイヤの接地面が変形する恐れがあり、形状にもヘンなクセがつきやすい。場合によっては、走り出してしばらくは振動が出たり、異音が生じる可能性がある。
同時にサスペンションのブッシュやマウントのゴム類、ダンパー、スプリングなどへの負荷が、片側にだけ集中することになり、劣化具合にバラつきが出ることもある。ハブベアリングなども平地に駐車しているクルマよりも痛みやすくなってしまう。
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