■BMW M2クーペ
(TEXT/斎藤 聡)
最後のピュアスポーツクーペかもしれない。FRと前後重量配分にこだわり、精巧精緻な操縦性を作り出したうえで、扱い切れるぎりぎりのパワー(トルク)を備えたエンジンを搭載。エンジニアの情熱と執念すら感じさせる究極の走りのスポーツクーペだ。
6速MTにするか7速DCTにするかは悩ましいところ。ツインクラッチ式のセミマニュアルランスミッションは、シフト操作をミスなく正確に行えるという点で、MTをしのぐ。すべての性能を引き出し、そのパフォーマンスを全部味わいたいと思うのなら7速DCTかも。
でも、つたない己の技術にイライラしながら、それでもクラッチを踏み、息を止めてヒール&トゥを使い回転を合わせ、できるかぎりその性能を引き出そうとチャレンジする面白さと達成感はMTでこそ味わえる醍醐味。やはり濃さと深さはMTになるだろう。
■ルノールーテシア
(TEXT/岡本 幸一郎)
ベーシックグレードの「ZEN」に、EDC(エフィシエント・デュアル・クラッチ)と呼ぶ6速DCTと5速MTが15万円の価格差で選べ、しかも同じグレードなのに、なぜか搭載しているエンジンが違って、そのほかの装備も微妙に異なるという世にも珍しい設定。EDCには118psの直4、1.2L、MTには90psの直3、0.9Lがそれぞれ搭載されている。
ただ、せっかくMTが選べるとはいえ、非力なうえギヤ比がワイドで、エンジンレスポンスも眠く、特に回転落ちが鈍いのがネックになる。あまりそのあたりにこだわらず、とにかくMTに乗りたいという人向けで決してスポーティに走れるワケではない。
これに対し、EDC搭載車は常用域のトルクがあり、6速のギヤ比も適切なので軽やかに加速して、気持ちよく走れる。どうしてもMTがイイという人でないかぎり、EDCを選んだほうが賢明だ。
■ジャガーFタイプ
(TEXT/岡本 幸一郎)
いつのまにかワイドバリエーションになったFタイプだが、V6、3Lスーパーチャージドエンジンを搭載する高性能版の「P380」(※スポーティな「Rダイナミクス」ではない)の2WDモデルに8速ATとともに設定されている。価格はMTのほうがだいぶ安い(クーペで106万円、コンバーチブルで39万円安い)
MTに乗りたい人向けにあえて用意したという印象で、V8や直4には設定がない。
さすがは高級スポーツカーのMTらしく、シフトフィールは申しぶんない。ショートストロークで節度感も高く、MTを操ること自体が楽しみになるほどだ。
スロットル特性もMTに合わせて最適化されていて、ノーマルモードでは扱いやすく、ダイナミックモードではすべてが豹変して過激になる。MTの勝ちとしたいところだが、実は8速ATの出来も非常にいいので、引き分け。
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