えっ、まだやってるの!? 昔の常識今の非常識 古いクルマ好きの無意味な慣習


■エンジン設計者は慣らし運転は必須とは言わない

 昔からクルマ好きの間で論争になるのが、慣らし運転をどうすべきかというテーマ。慣らし運転不要論を唱える人もいれば、入念に慣らしたエンジンは後々のパフォーマンスが違ってくるという人もいる。

 ぼくの経験では、自動車メーカーのエンジン設計者で「慣らし運転は必須」という人に出会ったことはない。

 もちろん、走行0キロでいきなりサーキットに持ち込むのは推奨しないが、入念に慣らし運転をしないと設計値のパフォーマンスが出ないなんてことは有り得ない。

 慣らし不要とまではいわないが「現代のエンジンの工作精度はそんなに甘くないですよ」というニュアンスで話してくれる人がほとんどだ。

 では、「じゃアナタは新車を買ったらいきなり全開にするの?」と聞かれるかもしれないが、それはもちろん「NO」だ。

 自分で買った新車を初回点検前に全開でブン回すなんて、クルマ好きのすることじゃない。最低限、最初のオイル交換までは丁寧に乗って、じょじょに慣らしてゆくに決まってる。

 つまるところ、慣らし運転というのは「気持ちの問題」ということ。現代のエンジンは慣らし不要といえるくらい機械精度は高いが、だからといって最初からブン回すのは気持ちのいいものじゃない。

 慣らし運転も新車を買う楽しみのひとつなんだから、そういう気持ちでエンジョイすべきだと思うのですが。

■3ペダルのテクニックはまだ必要なのか?

 マニュアルミッションが絶滅危惧種となった現在、もはや無形文化財といってもいいくらい珍しくなったのがヒール&トゥとダブルクラッチだ。

 こうなってくると、まずヒール&トゥとダブルクラッチとはなんぞやということを説明しないと、話が前へ進まない。

 ヒール&トゥはブレーキを踏みながらシフトダウンするという状況で、エンジン回転を下のギアに同期させるためブレーキを踏んだまま右足のカカトでアクセルをちょんと空吹かしするテクニック。

 ダブルクッチは、シフトアップ/シフトダウンでギアを切り替える時、いちどニュートラルポジションでクラッチをつないで回転を同期させてから次のギアに入れるテクニック。

ヒール&トゥーは必須というわけではないがこれができないと一人前じゃない、みたいな空気はいまだにありそうだ

 シフトダウンの時には同期のためのアクセル空吹かし、シフトアップの時はその逆の操作が必要となる。

 まぁ、ほとんどの人には「何のこっちゃワカラン」と思うが、昔の人はこういう風にイロイロと面倒な作業をこなしつつ、マニュアルシフトのクルマに乗っていたわけだ。

 しかし、面倒なことは機械に肩代わりさせるのが技術の進歩というもの。

 ダブルクラッチはシンクロナイザー(これも死語だね)の発達で使われなくなり、ヒール&トゥもフェアレディZが装備した「シンクロレブコントロール」のような自動空ぶかし装置で置き換えることが可能となっている。

 というか、そもそも面倒なシフト操作を機械やらせようというのが、オートマチック・トランスミッション(AT)の発想なんだから、ATを選んだ時点でそれまでドライバーがやっていたクラッチ操作やシフト時の回転同期などはすべて不要となる。

 冒頭に述べたとおり、AT車比率98%という現代ではヒール&トゥとダブルクラッチはもはや無形文化財といってもいいテクニックなのである。

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