■水抜き剤が効果的なクルマなんてもう少ない!?
昔のクルマはメンテナンスを必要とする部分がたくさんあったが、現代のクルマは基本メンテナンスフリー。
ディーラーで真面目に定期点検を受けておけば、燃料を入れるだけで快調に走り続けてくれる。
ところが、そうなると逆に「いじりたいユーザー」にとっては物足りなくなる。
昔はプラグコード(死語)を変えたり、バッテリーのアース線を交換したり、お手軽なDIYチューンが楽しめたが、今のクルマは素人には手も足も出ない。
ガソリンスタンドで「ガソリンタンクの水抜きはどうですか?」なんて言われると、ちょっとやってみたくなったりするわけだ。
率直に言って、こういう水抜き剤などはあんまりお勧めできない。そもそも現代のクルマの燃料タンクはほとんど樹脂製だし、燃料系はHC(炭化水素)の蒸発を防止するため完全密閉で蒸発HCを吸着するキャニスターまで装備している。
内部の結露がゼロとはいわないが、それが悪影響を及ぼすような設計にはなっていない。
これは12Vバッテリーも同じ。昔は電解液が大気開放だったから、液が減って電極が露出しないように蒸留水の補給したりという作業があったが、いまのバッテリーは完全密閉型。蒸留水を補給しようにも補給口がない。
そんな閉塞状況ゆえ、最近のDIYチューンはSEVやアルミテープのような心理効果(?)を狙ったネタにシフトしているような気もしますねぇ。
■右ウィンカーで「追い抜きたい」は通じない?
交通というのは一種のコミュニティだから、そのコミュニティの中で通用する一種の「言語」が存在する。
代表的なのはハザードランプで、本来緊急事態を知らせる非常信号だったのに、いつの間にか「ありがとう」のサインとしても使われるようになった。
いまやそっちの方が主流。これは日本特有の文化らしいけれど、カー・トゥ・カー・コミュニケーションの先駆けともいえる事例だ。
逆に、すっかり悪いイメージがついてしまったのがパッシングライト。本来は追い越し車線にふらっと出てくる遅いクルマへの警告だったのに、最近では典型的な煽り運転行為という扱い。ちょっと使用をはばかる空気になっている。
同様に影が薄くなってきているのが、右ウインカーで「追い越したい」というサイン。
パッシングライトよりも刺激の少ない(へり下った?)合図として、いっとき高速道路で右ウインカーの点滅が見られたが、もはや追い越しそのものが「悪」なのかもしれません。
煽り運転といえば、だったら左ウインカーで「追い越してください」という意思表示をして先に行かせちゃえばいいじゃないと思うのだが、これも意外に普及しない。
こちらは、もっと一般化してほしいコミュニケーションサインだと思うのですがねぇ。
■もうすぐクルマの鍵すらなくなるぞ
さて、いろいろ書いてきけれど、最近は技術の進歩が早いからそれが陳腐化するのもアッという間。
10年くらいクルマから離れていたらほとんど浦島太郎状態で、「え、そんなことまだやってるの!?」というネタがどんどん増えてゆく。
たとえば、最近のクルマは多くが電子キー装備だから、ドアのロック/アンロックはリモコンで一発だけれど、ボルボなんかキー自体を廃止してスマホで認証させる計画を進めている。
今はポケットから鍵を取り出して鍵穴を探す行為が古臭く見えるけれど、もうちょっとしたら「え? まだ鍵なんて持ち歩いてるの?」になるかもしれない。
自動車業界に押し寄せる「電動化」の荒波は、100年に一度の大変革と言われているけど、クルマとの買い方、使い方、付き合い方など、クルマに関わるすべてが大きく変化しつつある時代といえそうですね。
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