高速バスのドアに注目! 路線バスに多い折戸はなぜ廃れた!?


 高速バスの乗降扉は一般的には前にドアがひとつと、いわゆるトップドア車だ。乗車定員が決まっていて停留所が少なく、乗降に多少時間がかかっても問題がないからだ。とはいえ少しでもパフォーマンスを良くするために昔ながらの折りたたむタイプの“折戸”が非常にアツい!! 何がそんなにイイの!?

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)

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折戸vsスイングドア

 ハイデッカー車の標準的な扉は1枚扉がガバッと外に開くスイングドアだ。これはプラグ式のドアになっていて、閉めたときに車内側にテンションを掛けて密閉性を高めている。

 スイングドアのおかげで高速走行時の風切り音が少なくなり、静粛性が高まり見た目にもスタイリッシュでカッコいい。 また乗降口を若干広くとれるのでドア1枚のトップドア車には最適と考えられる。

スイングドアの例(長崎県交通局・三菱ふそうエアロエース)

 これらの理由からしばらくはスイングドアが多用された。一方で昔ながらの折戸は市内を走る路線バスでは一般的だが、ハイデッカー車には当初は折戸しかなかったものの、時代が進むにつれメーカーのラインナップから外れていった。

古い折戸にもメリット?

 ではこれらの違いはどこにあるのだろうか。まずスイングドアは前述の通り静粛性に優れ、デザイン的にも野暮ったくない洗練されたイメージである。 実用面では開扉したときに、折戸のように車内に折りたたまれたドアの厚みがないので、実質的に乗降口が若干広くなる。

 しかしドアの開閉に時間がかかり、頻繁に停車する昼行高速バスでは通勤通学の足として使われる路線もあり、そうした路線では降車を待って乗車することになるので乗降に時間を要する。ドアの開閉時間は積もり積もって定時運行に悪影響であるばかりか、乗降を待つ乗客にとってももどかしい時間になってしまった。

折戸の例(西鉄バス北九州・日産ディーゼル西日本車体工業B型)

 折戸はパシャッと動作し、1-2秒程度で開閉ができるので、待ち時間がほとんどなく到着とほぼ同時に乗降が可能なほどだ。最近の鉄道でホームドアが設置される、前後のドア開閉待ち時間と体感的にはほぼ同じだ。

 デメリットは車室の密閉が難しいので、高速走行時にはドアから風切り音やロードノイズが侵入しやすい。これは夜行便には致命的だが、昼行便では利便性のほうが上回るので目をつぶっていた時期もある。また、見た目もボディとはカラーなどが異なるパーツなので、バス全体の見た目的な美しさにも劣ってしまう。

ウインドスクリーンの原理で風切り音をカット!

 メーカーもこれを改善するために、マイクの風切り音をカットするウインドシールドやウインドジャマーの原理で、密閉できない折戸下部や前部にフサフサの毛やフィルターを積極的に取り付けて、風切り音をカットする折戸が誕生すると、音の問題は概ね解決された。

スイングドアの例(鹿児島交通・ヒュンダイユニバース)

 それでも見た目のカッコよさから、特に観光バスや貸切バスにはスイングドアが主流だが、短・中距離の昼行高速路線で、便数や乗降が多い路線を運行する事業者では、ラインナップから消えた折戸をボディメーカーに発注して、高速車に採用していた。ところが需要が多いので最近ではメーカーオプションで選択できるようになった。

 見た目と密閉性を取るか、開閉の早さによるパフォーマンスを取るかの選択が可能になり、そこに事業者や路線の特徴が垣間見える。折戸の高速バスに乗車する際には、そのパフォーマンスに注目してみると単調な移動もまた面白い(かも)。

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