2023年 クラウン三つ巴対決&トヨタ同士の共食いが始まるのか!?
クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートという4種類が準備されたクラウン。そのなかでもエステートは、現在の自動車市場で最も好まれるカタチであり、大きな支持が期待できるだろう。
先行して登場したクロスオーバーの車両本体価格は435万円~640万円。エステートは、ボディサイズが大きい分、価格も少し上昇しそうだが、500万円台の前半からスタートし、800万円あたりまでの価格帯で収まれば、プレミアムSUVの中で頭一つ抜けた存在になるはずだ。
他社のライバルにはもちろん、トヨタ内のSUV争いにも独り勝ちしそうな勢いもある。現行型のレクサスRXやランドクルーザー300などが位置する価格レンジでクラウンエステートが登場すれば、現在の高級SUV市場の潮目も大きく変わりそうだ。
また、クラウン同士の争いにも注目したい。クロスオーバーに関しては、既に詳細が発表され注文を受け付けており、まずは新型クラウンの腕試しといったところか。2022年中は、クロスオーバーが先陣を切り、クラウンという存在を刷新する役割を担う。
注目したいのは、残されたスポーツ、セダン、エステートがすべて2023年の登場予定となっている点だ。どのクルマがどのタイミングで登場するかは、まだわかっていないが、毛並みの大きく違うセダンを除いて、スポーツとエステートの登場タイミングいかんによっては、先行したクロスオーバーとの三つ巴が発生することも考えられる。
ショート・ミドル・ロングといったボディサイズの違いや、2~2.5BOXというボディ形状の違いはあるが、カテゴライズはすべてがSUVだ。それぞれの登場時期や価格は変化させても、それぞれがプレミアムであることには変わりない。
クルマとしての変化には限界があり、ハリアー・ランクル・RX・NXなどのSUVを巻き込みながら、熾烈なライバル争いが始まるだろう。商品力だけでの差別化は難しく、勝負に負けたクルマは、ラインナップから消える可能性も高まってくる。
こうした争いを避けるために必要なのが「販売力」だ。これまでも、ヤリスとアクア、プリウスとカローラ、ハリアーとNXなど、トヨタ同士、そしてトヨタとレクサスで共食いが発生しそうなクルマを売り分けてきたトヨタ販売店。クラウンに関しても、販売の力で無益な共食いは阻止されるはずである。
クラウンシリーズについては、商品力や値付け以上に、「売り分け」が重要となるはずだ。看板商品であるクラウンだからこそ、メーカーから販売店を含めた「オールトヨタ」で大切に広げていきたい。新型クラウン、そしてエステートの復活には心躍るが、同時にすべてのラインナップが発売されるまで、クラウンのマーケット戦略は気を抜けないものとなる。
クラウンの4モデル同時発表は、メーカーが販売店の力を信じているからこそできた、サプライズだったのではないだろうか。魅力ある商品をより輝かせるために、世界一ともいわれるトヨタの販売技術が、2023年に炸裂する。
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