道路を走る乗り物の中でも、バスは比較的背の高い存在だ。セダンやハッチバック型の普通乗用車の高さが1.4〜1.5mほど、ミニバンで1.9mくらいある。チラッと見比べただけで分かるほど、それらよりバスはずっと長身である。
具体的に何メートルあるのかは後述するとして、実はバスの背丈にも、どこまで高くするかの基準が少なからずあり、「3800mm」というキーワードが重要になってくるのだ。一体どんなルールが!?
文:中山修一
写真:中山修一/バスマガジン編集部
3800……どこでも走れる魔法の合言葉!?
この3800mmという数値は、道路法という法律で決められた、公道を自由に走行しても良い自動車の、タイヤを含めた地上からの高さの限界を示したものだ。
国土交通省が発行する資料の規定によると、高さの上限は車体の大きさによって異なり、全長4.7m・幅1.7mまでの「小型自動車」が2m、全長4.7m・幅1.71〜2mまでの「小型自動車等」が2.8m、全長4.71〜12m、幅2.5mまでの「普通自動車」が3.8mとなっている。
バス車両についての言及はないものの、車体の大きさから判断すると普通自動車(運転免許の区分とは別)の項目に該当するようだ。つまり、車両の高さをこの範囲=MAX3800mmに収まるよう設計すれば、大柄なバス車両も基本的にはどこでも走れるようになる、というわけだ。
特に路線バスの場合、利用者にキメ細かなサービスを提供するためには、広い幹線道路から外れた場所に停留所を置くことも多々あるため、それほど道を選ばない寸法で作られていることが重要となる。
実際どれだけ背丈があるのか
次に、各メーカーが発売している、日本国内向けのバス車両の高さを少し見ていくと、大まかな目安としては下記のようになる。
・小型路線バス:約3m(日野ポンチョ)
・大型路線バス:約3m(いすゞエルガ)、約3.1m(三菱ふそうエアロスター)
・大型連接路線バス:約3.1m(メルセデスベンツ シターロG)
・大型観光バス1:3.5m(いすゞガーラ ハイデッカー)
・大型観光バス2:3.75m(いすゞガーラ スーパーハイデッカー)
いわゆる普通の路線バスは大体3mくらい、ハイデッカーやスーパーハイデッカーと呼ばれる、高い位置からの眺望が楽しめる作りの観光・長距離タイプでも、規定の3.8mピッタリではなく、若干の余裕を持たせた設計になっているようだ。
ほか最大級のサイズを誇る、2階建て構造の長距離用大型バス(三菱ふそう エアロキング)が、ごく少数ながら現在も運用されているが、こちらも高さは3.76mである。