■ドライブモードセレクトが走りを楽しく
さらに上級となる「STI Sport R」は、パワーユニット/ダンパー/EPS/AWDなどの特性が変更可能な「ドライブモードセレクト」の採用により、「やっぱりWRXだよね」と「本当にWRXなの?」という二面性を備える。
具体的にはコンフォートはスポーツセダンとは思えない穏やかで優しい乗り味、逆にスポーツ+はBRZ並みの軽快でキビキビとした乗り味と、各モードの差も大きい。
安全性に関しては世界最高レベルの衝突安全性能は言うまでもなく、広角化されたステレオカメラや電動ブレーキブースターを組み合わせた「新世代アイサイト」に加えて、3D高精度地図データとGPS情報を利用する先進運転機能「アイサイトX」を全車に標準装備と、先進安全デバイスも抜かりなしだ。
このように全方位で進化している新型WRX S4だが、強いて弱点があるとすれば「価格」かもしれない。先代に対して約100万円のアップは、性能アップは装備充実などを考えれば許容範囲とはいえ、それが故に購入をためらう人もいるだろう。
ただ、買い方の工夫でカバーは可能で、例えば残価設定ローンの残価率は他のモデルよりも高いので、月の支払いは想像よりも抑えることも可能だ。
■WRX S4「販売不振」の真相
そろそろ結論に行こう。WRX S4は決して販売不振ではない。では、なぜ売れていないのか? その理由は、ズバリ「作りたくても作れない」だ。
これはほかの自動車メーカーと同じで、スバルも世界規模で発生している半導体部品の不足、そして海外におけるコロナウイルス感染拡大に伴うロックダウンの影響などによる部品供給の遅延の影響により、生産が予定通りに行なわれていないのが原因だ。
ちなみにスバルに話を聞いてみると、「販売不振どころか、バックオーダーは8カ月くらい抱えている状態」だという。
つまり、冒頭の販売店セールス氏の言葉の裏を読むと、「納期の長さにユーザーは買い換えを踏み留まっており、契約になかなかつながらない」と読み取れる。「月販台数が少ない=人気がない」と判断するのはちょっと短絡的だろう。
2022年、WRXは生誕30周年を迎えている。個人的には電動化やCAFE規制、さらには騒音規制などスポーツ系モデルへの風当たりが厳しい時代にもかかわらず、WRXの「伝統」をしっかりと引き継いでくれたスバルに対して、素直に感謝すべきだと思っている。
【画像ギャラリー】受注開始直後の勢いはどこへ!? 販売が伸び悩む武闘派スポーツセダン・スバル WRX S4(14枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方The WRX S4 with a SPT transmission feels slow. 0-100 in 6.9 seconds isn’t fast enough. The Manual transmission is much better, why is it not available in Japan at a cheaper price than the SPT?