失敗例は「スカイラインクロスオーバー」「CR-V」
反対に、(販売の面で)失敗したクロスオーバーSUVの代表例は、日産「スカイラインクロスオーバー」だろう。もともと、日産の北米向け高級車チャンネル「インフィニティ」のクロスオーバーSUV「EX35」として開発されたモデルである、スカイラインクロスオーバーは、ベースとなったV36型スカイラインよりも、さらにプレミアムを強調した路線となっており、素材にこだわったインテリアの質感は非常によく、走りも一級品。スカイライン譲りの走行性能で、非常に評価は高かった。
しかしながら、エンジンは燃費の悪い3.5LのV6のみ、後席や荷室は狭く、SUVとしての使い勝手に欠けていた。さらに価格は420万円以上と、「スカイライン」を求める顧客層が手の届く価格帯ではなく、いいモデルではあったが、販売は失敗に終わった。
また、ホンダ「CR-V(2016年登場の5代目)」も、日本市場ではほとんど売れていない。北米市場では、月販2万~3万台と好調なCR-Vだが、日本市場では2018年6月に返り咲いて以降、大苦戦。登場翌年以降は、月販1000台に届かない状況がつづいている。
CR-Vの弱点は、アメリカナイズされたボディサイズと、最安グレードでも336万円もする価格の高さだろう。先日、日本市場へは新型のSUV「ZR-V」が発表されたが、既に北米市場では、2022年7月にフルモデルチェンジをした6代目「CR-V」が発表されている。引き続き、CR-Vが導入されるのか、注目だ。
また、マツダ「MX-30」も、現時点、販売では「失敗」といわざるを得ない状況だ。他のCXシリーズとはやや毛色の違う優しいエクステリアデザインと、コルク材を用いたインテリア、そして観音開きのフリースタイルドアが特徴のMX-30。2021年1月にはマツダ初のバッテリーEV「MX-30 EV MODEL」も登場している。同一サイズで同価格帯、使い勝手のいい後席ヒンジドアをもつCX-30へと、顧客は流れてしまうのだろう。2022年は月販200台前後と低迷している状況だ。
「いいクルマ」だけでは売れない
今回、販売が振るわなかったとして挙げた3モデルは、いずれもクルマ自体の完成度は高かったものの、価格が高かった、というところが、最大のネックになっているようだ。特に、スカイラインクロスオーバーとCR-Vは、海外向けに開発したクルマを、無理やり日本仕様へ変更して販売しているためか、品質とコスパに世界一うるさいと言われている日本人には合わなかったのだろう。
クラウンクロスオーバーがどのくらい売れるのか、予想するのは難しいが、「販売のトヨタ」としては、名門「クラウン」で失敗することは、何としても避けなければならないところ。4車種に分けたことや、チャレンジングなエクステリアの反面、やや地味なインテリアなど、気になるところも多いが、平均年齢70代というクラウンの顧客層が、引き続き新型クラウンも購入してくれるのか、そして、新たな顧客を獲得することはできるのか、名門のチャレンジだけにその動向には引き続き注目だ。
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コメント
コメントの使い方仰る通り、CR-Vは装備内容と価格設定だと思います。
まず、今時7インチナビしか付けられないというのはかなり痛いですね。しかも強制ですし。
海外仕様ではディスプレイオーディオが付けられるようになっていたので、これを導入して欲しかったですね。
ZR-Vは、エントリー価格が300万円切りらしいです。
装備内容の割にかなり頑張ったと思います。