クルマ好きならずーっと気になっているのが「次期シルビア」情報。出るのか、出ないのか、ベストカーはどっちなのかハッキリしてくれという意見も多い。
ベストカースクープ班も10年以上に亘り次期シルビアについて情報を追っていたが、ついに結論が出そうである。
最新の情報とともに「S16シルビア」の今後と、過去になにがあったのかお話ししましょう。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカー
■2008年頃までは開発が行われていたのは事実
手ごろなサイズ、そして価格でFRの楽しさを多くのクルマ好きに伝えてきた日産シルビア。7代目にあたるS15型が生産を終了したのが2002年。
当時の日産は1999年からカルロス・ゴーン体制になり、2003年に負債を完済する途上。コストカッターと言われていたゴーン氏により多くの車種が開発中止になるというのが一般的な見方だった。
しかもスポーツカーは採算性が悪く、コストカットの筆頭候補だったのは想像に易い。だがご存知のように日産にはフェアレディZもGT-Rも健在で、スポーツモデルすべての開発が終了したわけではない。
次期シルビアに関してもベストカーでは関係者からの詳細な証言などを手に入れており、実際に開発が行われていたのは間違いない。
それを裏付けるように日産は多くのスポーツモデルのコンセプトを発表した。2005年の東京モーターショーでは「フォーリア」。同年のデトロイトでは「アズィール」と2ドアクーぺのコンセプトを立て続けに公開したのだ。
さらに2006年にはデトロイトで「アージ」を出展。このころになると市販化に向けて次期シルビアは具体的な開発が進んでいた。
2008年頃にはベストカースクープ班は次期シルビアとされる図面を確認しており、この計画が机上の空論ではなかったことを確認している。
しかし2010年になり大きな転換点を迎える。リーマンショックの影響を受けてFR、NA 2Lで開発が進んでいた次期シルビアの開発プロジェクトは頓挫してしまったのだ。
ベストカースクープ班は当時について「昨日までは開発続行と聞いていたのに、夜が明ければ開発中止の情報が入ってくるような状況」だったと言う。
結果として日産はより大きなスカイラインクーペやフェアレディなどに資源を集中し、日産のFRスポーツは大型化していく。
■2013年のIDxはシルビアではなかったのか!?
ここまでなら「次期シルビアはなくなった」で終わるのだが、日産は2013年の東京モーターショーにIDxなるコンセプトカーを出展してまたハナシが複雑になる。
かつてのブルーバードやハコスカなどの日産のスポーツアイデンティティを盛り込み、コンパクトなクーペスタイルのボディはあれこれと想像を掻き立てた。
フロントデザインが初代シルビアに似ていたこともあり「これは次期シルビアか!?」と書くメディアも多かった。
しかし間もなくしてクルマ好きの間に広がったこの歓喜の渦が、一瞬にしてシュンとしてしまう事態が発生する。
日産専務執行役員チーフ・クリエイティブ・デザイナーの中村史郎氏(当時)が、とあるメディアにこう語ったのだ。
「現在、ミドルサイズ以下のFRプラットフォームは開発されておらず、IDxのようなモデルを市販する計画はない」。
この発言は熱していた次期シルビア待望論を鎮めるのには充分であり、いよいよシルビアは消滅したかに思われた。
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