■日産広報サイドは増産を全否定しているが……
日産広報に聞いてみると驚いたことにこの件に関する情報をまったく持っていない! 新型フェアレディZの生産計画台数すらわからないという。日産広報、社内の情報を持っていない? 辛いですね~。
ということで新型フェアレディZを生産する栃木工場の生産キャパシティと生産車種を調べてみた。まず生産キャパシティだけれど、年間30万台規模。国内の自動車工場としちゃ最大級だ。
生産している車種はアリア、シーマ、フーガ、スカイライン、GT-R、新型フェアレディZ、Q50、Q60の8車種。このうち、シーマとフーガ、スカイラインについちゃ生産が終了する。Q50とQ60で年間2万台程度。GT-Rは手作りなので少数。となればアリアと新型フェアレディZの工場ということになります。アリア、どのくらいの台数を作るのだろう?
日産の計画によれば初年度3万台。2年目はその倍として6万台。年産30万台の栃木工場だから24万台も余力ある。なのに、新型フェアレディZの日本向けが500台など最初からありえないだろう。
日産はアメリカ向けの販売目標も発表していないため推測になってしまうけれど、Z34型の先代フェアレディZを発売した2009年で年間1万3000台。ただ、先々代型のZ33を発表した2003年は3万6000台ほど売れている。
2003年は日本向けを含め5万台くらい作ったと思う。新型ファアレディZも世界5万台規模としてアメリカ90%の日本10%なら5000台。奇しくも新型シビックタイプRと同じくらいの台数になる。年間5000台なら月間400台少々。文頭に書いた「2022年度で500台」とケタが違う。ということで、一部ディーラーなどで流れている情報は大いに怪しいと考えていい。
■基本的に新型Zも徹底的に米国市場優先……
ここまで読んで「情報は2022年度で500台じゃなく、2022年度は月産500台の間違いじゃないか?」と思うかもしれない。確かに伝言ゲームになりがちなスクープ情報ならあり得る。そのうえで月産500台が1150台と2倍以上になることはあるのか?
前述のとおり、新型フェアレディZの世界生産台数を5万台としよう。栃木工場の生産台数を5%増やせば5万5000台。
増えた5000台をすべて日本向けに回すことで1万台になる。この件、フェアレディZを担当した田村宏志さん(日産ブランドアンバサダー)に聞いたのだけれど、可能性ほぼないとのこと。とにかく徹底的にアメリカ市場優先らしい。
考えてみたら折しもの超円安。アメリカで1台5万ドルは1ドル110円なら550万円。直近の1ドル140円だと700万円になる、収益を考えると増産するにしてもアメリカ優先ですワな~(泣)。
そもそも新型フェアレディZは開発のスタート時点で経営陣から「あまり売れない」と判断され、生産台数計画も売れなかった時のため大幅にコストダウンされてしまったようだ。部品の手配などを含め(エンジンに使われるターボだって増産できない)、簡単じゃないと聞く。といったことをすべて認識したうえ、私は日本向けも若干の増産が行われると期待しています。
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