三菱がマイチェンを受けたエクスパンダークロスを日本で売るべき理由とは?


 2019年11月に登場した三菱のエクスパンダークロスが今年8月、インドネシアでマイチェンを受けた。今回のマイチェンにより、さらに力強いデザインに一新して走行性能を向上させたのが特徴だが、国沢光宏氏はこのエクスパンダークロスをなぜ日本国内に持ってきて売らないのか、理解できないというが、持論を展開してもらった。

文/国沢光宏、写真/三菱自動車、ホンダ

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■米国でのフェアレディZは激安でバカ売れ中!

インドネシアで今年8月、マイチェンを受けた3列シートSUV、エクスパンダークロス

 読者の皆さんも『ビッグマック指数』をご存じだと思う。世界中で販売されているマクドナルドのハンバーガーの価格で、その国の購買力を比較しようというもの。我が国は390円。

 皆さん、「まぁそんなものでしょう」と思うことだろう。日本車にとって最も大きな収益源になっているアメリカといえば、710円! 390円の感覚で710円を払っているワケ! かつて日本車が目標としてきたドイツは657円だ。

 最近、日本車が高いと嘆く声をよく聞く。そらそうだ。アメリカや欧州向けのクルマは日本の2倍くらいの購買力を対象にしている。夏休みに海外へ行った人ならわかるとおり、アメリカのファミレスで朝ご飯食べるとひとり2500円くらい取られるけれど、アメリカ人からすれば不当に高くない金額なのだった。欧米向けに作られたクルマを日本で売ろうとすれば、どうしても割高になってしまう。

 自動車メーカーにとってもアメリカで売ったほうがいい。アメリカだと4万ドルスタートの新型フェアレディZは激安と評価され、爆売れ中。4万ドルを日本円にすると560万円になる。日本でフェアレディZを売れば476万円(いずれも税抜き)にしかならない。だったら作れるクルマはアメリカに輸出して売ったほうが儲かる。利幅を減らしてまで日本で売る意味ないです。

■トヨタは200万円を切る価格帯のクルマをラインナップをきっちりと構築

3列シートSUVのエクスパンダー。三菱のインドネシア工場製で、1.5Lガソリンエンジンを搭載する

 閑話休題。ビッグマック指数で見ると390円の日本に近いグループは、タイの490円(悲しいことに日本人がタイでビッグマックを食べると高いと思うってこと)や412円のベトナム、383円のフィリピン、340円のマレーシアといった東南アジアの国々。すなわち東南アジアでビッグマックを食べているような人たちと同じくらいの価格帯のクルマこそ、日本に必要と言うことになる。

 もう少し掘り下げると、ベーシカルなエンジンを搭載し、標準的なADAS(自動ブレーキ)などを標準装備した1500~1800ccクラスのA~Cセグで200万円を切る程度と言ったイメージ。

 トヨタはしっかり考えており、カローラクロスや新型シエンタなど必要な装備はすべて付けて200万円を切ったスターティングプライスを付けてきている。この価格帯のクルマが日本には必要だ。

 当然ながらトヨタ以外だって東南アジアレベルのクルマをラインナップすべきだと思う。例えば、三菱自動車のエクスパンダー。インドネシア工場で生産されている東南アジア向けの、なかなかカッコいいSUV風3列シートミニバンだ。1500ccエンジンを搭載しており、試乗してみたら動力性能はまったく不満なし! シエンタやフリードと同じくらいのイメージでいい。

 そのまんまだと排気ガス規制や衝突安全基準の違いで日本での販売はできないものの、手を加えれば問題なし。タイ工場で生産しているミラージュやマーチなども本来なら東南アジア向けスペックながら、日本市場への対応はできている。日本で生産したっていいんじゃなかろうか。カローラクロスやシエンタと同じく200万円を切るスターティングプライスを付けられることだろう。

 同じくホンダにもBR-Vというタイで生産している新興国向けのSUV風3列シートミニバンがある。ベースはAセグのためホンキになって寄居工場で作ったらフリードより安価な価格設定にできるハズ。

 何でやらないのか? こらもう簡単。三菱自動車もホンダも国内販売担当部門から「そんなクルマを作っても売れない!」と拒否されているようなのだ。

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