10月中旬に枯渇すると発表されたCEV補助金! 早くも販売現場は大混乱 昨年のように受け取れない「魔の空白」はあるのか?

■昨年は「補助金が大幅減額される魔の17日間」があった!

 すでにCEVを購入して納車を待っていらっしゃる方、今からCEVを購入しようとしている方の最大の関心事は、「予算が枯渇してもし補助金がなくなったらどうしよう」ということだと思います。

 補助金は、車両代金が全額支払われ、陸運局でナンバープレートが交付されてから申請可能となり、車両登録後から原則1ヶ月以内(車両代金支払手続きが完了していない場合は登録日の翌々月末)が申請期限となります。

 実は昨年、補助金予算の枯渇により、当初思っていた額よりも少ない補助金しか受け取れない「魔のタイミング」とでもいうべき不幸な時期がありました。

 経産省の令和2年度補正予算から支払われるCEV補助金が、昨年9月8日申請書到着分をもって終了しました。それと並行して当時存在した環境省の令和2年度補正予算からの補助金も、11月8日に終了しました。

 経産省の補助金は最大60万円、環境省の補助金は最大80万円で、例えば日産リーフの売れ筋Xグレードの場合、経産省分を申請すれば55万2000円、環境省分を申請すれば73万6000円のどちらかを受け取れました。環境省の補助金の方が対象車種が多く、補助金も多いことで、実質的に11月8日が補助金予算終了のタイミングとなりました。

 ここからがややこしいのですが、昨年つまり令和3年当時は、上記の経産省と環境省の令和2年度補正予算からの補助金に加え、令和3年度(当初)予算CEV補助金というものも同時に存在していました。そちらは補助金の最高額は40万円、11月9日になっても申請できました。

 令和2年度補正予算の環境省の補助金終了に間に合わなかった日産リーフのXグレードの購入者は、73万6000円ではなく、令和3年度(当初)予算の補助金38万8千円を受け取ることができましたが、環境省補助金の締め切りを逃したことで、差額の34万8000円分受け取る額が減ってしまうことになりました。

 そして、令和2年度補正予算の環境省分の補助金終了からわずか1ヵ月足らずの11月26日に、31兆5627億円におよぶ令和3年度補正予算案が閣議決定されます。

 その中には今まさに予算がなくなりつつある、予算総額375億円のCEV補助金が追加で盛り込まれました。そしてここがポイントなのですが、11月26日以降に新車登録されたCEVは、令和3年度補正予算からの補助金を遡って受け取ることができるようになり、また補助金も増額され、日産リーフのXグレードだと78万6000円が受け取れることとなりました。

 つまり、昨年の11月9日から11月25日の17日間に納車されて令和3年度(当初)予算に基づくCEV補助金の申請を行った人は、大幅に少ない補助金しか受けられなかった、納車が少し前後していれば35万円から40万円近く補助金が増えていた人もいた、という事例があったということです。まさに「魔の17日間」といってよいでしょう。

■現在の補助金枯渇後はどうなるのか?

 現在の補助金予算が仮に10月半ばに全て消化されてしまった場合、何が起こるのでしょうか?

 経済産業省から8月に発表されている来年度、令和5年度予算の概算要求のポイントを見ますと、CEV補助金の予算要求額は430.3億円となっています。

 今年度は概算要求334.9億円に対して実際の予算は245億円となりましたので、来年度のCEV補助金は300億円台後半で決着し、今年度と比べて100億円強、1台あたりの補助金の額が変わらないとするとクルマの数にして1万7、8000台分ほど多くとなるものとみられます。

 ですが、こちらはあくまでも来年度の予算。今年度に枯渇する補助金を復活させるには、令和4年度の第2次補正予算の成立が必要です。

 しかし、令和5年予算でより大きな額が概算要求されているということは、経済産業省にとってCEV補助金予算が重要な政策項目だということがわかります。

 つまり、今年度中にCEV補助金が枯渇した場合、年度内に追加される可能性が極めて高いということです。

 しかし、「魔の空白」が生まれる可能性が高まっています。昨年度は、補正予算案が閣議決定された11月26日にさかのぼってCEV補助金の申請が可能になりました。

 10月4日に岸田内閣が成立してから50日ほどの後のことです。今回CEV補助金が枯渇するのが10月半ばだとすると、補正予算が仮に閣議決定されるとしても、これから1ヵ月ちょっとしか時間がありません。

 現在国会は閉会中で、9月中に召集が行われるとみられる秋の臨時国会も、経済政策よりも先に、安倍元首相の国葬の是非や特定の宗教団体との関係の問題などに時間が費やされる可能性があり、さらに9月27日の国葬に出席する外国要人との会談などを含めて政治日程が混み合うことが予想され、補正予算に関しての議論が前に進まない可能性があります。

 昨年同様に補正予算の閣議決定後に遡って補助金が払われるとすると、最悪の場合、減額されても補助金はもらえた昨年の「魔の17日間」とは異なり、今回の補助金が枯渇した後、何の補助金も受け取れない期間が発生し、その期間も長くなることも考えられます。

 また、仮に補助金が受けられるようになったとした場合でも、各車種での補助金の額が変わるのか変わらないのかの不透明性も残ります。

 CEV補助金政策の重要性と補正予算閣議決定が10月半ばまでに行われるかどうかのタイミングの難しさを考えると、補助金追加の財源は補正予算ではなく、政府の裁量で支出できる今年度の予備費になるかもしれません。その場合は、「魔の空白」がなくなる、あるいは短くなることが期待できます。

 現時点では決まっていないことが多すぎて、CEV補助金を前提にクルマを購入される方、された方は、いつも以上に「補正予算」「CEV補助金」「予備費」というキーワードに気を配りながら新聞やニュースなどの政治欄に目を通す必要があるかもしれません。

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