■販売現場のディーラーに話を聞いてみた
ekクロスEVだけでなく、アウトランダーやエクリプスクロスPHEVもCEV補助金の対象となっている三菱自動車のディーラーに、補助金枯渇の発表を受けた販売現場の動向を聞いてみました。
今回の補助金枯渇後にいつから補助金が受け取れるようになるのか、もし受け取れる場合の額はこれまでと変わらないのかなどの問い合わせは多く、販売現場にも当然影響が出ているとのこと。
3車種とも納期は来年2月から3月以降なので、その時期になったら来年度予算の成立もめどがついているだろう、という計算のもとに、補助金を受け取ることができることを前提に、契約書にハンコを押すお客様が多いとのことでした。国や地方自治体が力を入れてクリーンなクルマを増やそうとしているから大丈夫、と考える方が多いそうです。
ディーラーではなくお客様が補助金を申請することもあり、何らかの事情で予定していた補助金を受け取ることができない場合でも、あくまでもお客様が対応される、という誓約書的なものの提出が必要となるようです。
納車・登録のタイミングを早めたり、遅めたりすることについては、可能な限り対応しますが、実際にできることは限られている、というお話も伺いました。
つまり、一度クルマを発注した後で、予想外の事態が起きて受けられると思っていた補助金が受けられなくなったとき、額が予想より少なくなった時でも、(やや言葉は強いですが)お客様側の自己責任でお願いします、それを理由とした発注キャンセルや、それを理由とした後からの値引き要請などはご勘弁ください、ということでした。
日産ディーラーにも話を伺いましたが、ほぼ同様の内容でした。
■補助金給付の実務を行っている次世代自動車振興センターに聞いてみた
補助金給付業務をおこなっている次世代自動車振興センターに、「今回の補助金予算が10月中旬にも消化されてしまった場合、新たな予算措置がとられなければCEV補助金は完全になくなってしまうという認識でいいのでしょうか?」と念のため改めて確認したところ、「その通り」とのことでした。
予算終了のタイミングが早まった理由について伺いましたが、やはりサクラ&ekクロスEVの軽EVが発売されたことなどで、補助金対象車の販売台数が増えているからとのこと。
また、「前回の発表から1ヵ月で51億円補助金の残高が減り、残り126億円だと単純計算すると11月半ばに予算終了なのに、なぜ「10月中旬から下旬」終了見通しに変わったのですか?」との質問には、以下のような回答が返ってきました。
「納車されてから最大1ヵ月遅れで補助金申請が来ることや、8月が夏休みのせいで営業日数が少なかった分の反動増が9月に来る可能性があること、足元の販売・生産動向などさまざまな前提を置いて、経産省が立てた直近の見通しによると、先月発表の「10月末終了見通し」が早まる可能性が出てきました。それを織り込んで、「10月中旬から下旬終了見通し」、つまり「10月末終了かもしれないけれど、半月ほど早まる可能性もありますよ」という書き方に変えました。ただし、今後の申請状況により前後する可能性は当然ありますので、引き続き留意してほしい」とのことでした。
経産省の担当者にも、同様に質問してみました。やはり新車の登録状況やOEMからの聞き取りを含め、CEV補助金対象車の販売状況は好調と認識しており、様々な過程をおいて試算すると予算残高の終了が早まるとの見通しになったということです。
予算が完全に消化された後にどうなるのかという点については、補正予算や予備費の活用などについて決まっていることはまだ何もないとのことでした。ですが、来年度の概算要求が今年度よりも増額されていることからも分かる通り、このCEVへの補助金支給による導入支援策は、継続して経産省の重要政策であることは間違いないとのこと。
今年度中(~2023年3月まで)に補助金が終了してしまった後で、何か追加の施策が行われるかどうかについては政治マターであることも含め、経産省からは何も言えないが、できるだけのことはしたいと思っているということが言葉の端々からにじみ出ていました。
最後にまとめますと、昨年から今年のCEV補助金支給の経緯を踏まえると、補助金が全くもらえなくなる「魔の空白期間」が、今年10月中旬から11月下旬近辺(昨年度補正予算の閣議決定のタイミング、当然前後する可能性も)に生まれる可能性があるということになります。
納期がそのタイミングに重なる可能性がある方は、次世代自動車振興センターのHPを定期的に確認し、念のため早めにディーラーに相談しておくことを強くおススメします。
【画像ギャラリー】10月中旬に枯渇すると発表されたCEV補助金! 補助金が受けられるBEVを写真でチェック!(14枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方