毎年9月20日は「バスの日」。これは公的な記録が残っている日本初の路線バスが京都を走った日を記念したものである。
1903年の路線バスデビューから120年近くが経とうとしているが、今日で最も古くからあるバス路線はどこなのだろうか? 歴史の1ページを覗いてみる!
文・写真:中山修一
古写真出典:日本乗合自動車協会十年史(1937)より
候補1:二井商会による京都乗合自動車(1903年)
明治36(1903)年に開業した日本初の路線バスが、二井商会の乗合自動車だ。堀川中立売を起点に、七条停車場(現在の京都駅に相当)までと祇園石段下まで向かう2つの路線があった。
6人乗りに改造した蒸気自動車による運行で、七条行きが7:00〜15:00までの往復運転。祇園石段下行きが15:00〜0:00までの往復運転を行なっていた。
運賃は1区間あたり4銭。感覚的には今の300〜400円といったところだろうか。
二井商会が営業していたバス路線が今も存在するかと言えば…経路は少し異なるようだが、京都市営バスの路線網が京都駅(七条停車場)〜堀川中立売〜祇園をカバーしている。
堀川中立売〜京都駅の路線なら9系統で約24分230円。堀川中立売〜祇園線は経路違いの12系統直通(230円)のほか、9系統と202系統を乗り継ぐ(約30分460円)と、当時に近いルートが再現できるようだ。
元祖にして現役!?な興味深い結果と言える。ただし、二井商会の路線バスは9月の開業から4ヶ月ほどで廃業してしまったので、現在の京都市営バスとは関係がなく、開業当時からの流れを組む路線、というわけではないのがちょっと惜しい。
候補2:山口安次郎の乗合自動車(1910年頃)
明治40年代に三重県の津市〜川原田間を、ホワイト社製12人乗り蒸気自動車で結んだバス路線。
現在の津駅前〜河原田駅に置き換えて検索してみると、河原田駅前にバス停がなく、似たルートを走るバス路線も存在しなかった。
候補3:尾崎鐵之助の乗合自動車(1911年)
明治44(1911)年5月から、三重県の外宮前〜内宮前間で運行を開始した。当初は蒸気自動車が使われるも故障が頻発し、後に8人乗りフォードが導入された。
現在も三重交通51系統が外宮前〜内宮前間の路線バスを走らせており再現できる。所要時間約20分・440円の乗りバス旅だ。
こちらも二井商会と同様、現在のバス会社(三重交通)との関係はなく、純粋な“最古”とは言い難いかも。