公共交通機関でのリクライニングシートのリクライニング(背もたれを倒すこと)は気を遣うケースが多い。普通車でも新幹線のようにシートピッチが広ければそれほど気にすることはないものの、LCCや高速バスではそれなりに気を遣う。本稿では高速バスでのリクライニング方式について考えてみた。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】高速バスのリクライニングはどんな方式がいいのか?(7枚)画像ギャラリー昼行と夜行
昼行高速バスの場合は後ろに人がいなければ倒す、いれば倒さないか一声かけるのが通常だろうか。いずれにしてもバスが出発段階でリクライニングされているケースはほとんどない。いわゆる「オリジナルポジション(元の位置)」で乗車することにるので運行時間などのケースバイケースで考えることになろう。
夜行の場合は走行中に寝ることが前提なので、タイミングはともかく最終的にはリクライニングさせることになる。
昼行のバスや運賃の安い4列昼行仕様で運行される夜行高速バスに比べて比較的深くリクライニングすることが多いが、深く倒れる分だけ後ろの座席では有効スペースが狭くなり、また途中停留所で乗車する際には自分の座席に入りにくいという事例もある。
どの方式が最善かという問題は残念ながらどの事業者でも結論を見ないようだが、現状では大きく分けて3種類のタイミングや方式を採用している。
オリジナルポジション方式
夜行なのでカーテンは最初から引いてあるものの、リクライニングはオリジナルポジションのままという事業者が最も多いのではないだろうか。
この場合は乗客が前後の状況を判断して自分で後席に声をかけ、リクライニングさせることになる。メリットは自分のペースでリクライニングができること。デメリットは後ろに声をかけなければならず、気を遣うことだろうか。
最初からフルリクライニング方式
一方で、営業所を出る段階ですべての座席をフルリクライニングして乗客を迎える、O.T.Bオリオンバスのような例もある。こちらのバスの場合はすでに背もたれを倒した状態で乗客を迎える、「着席即寝る体制」だ。
すべての背もたれが倒れているので座席に乗り込みにくいデメリットは多少は改善されるが、乗車後に自分のペースで何かをすることは少々窮屈になる。しかし前後を気にすることなく、そのまま眠りにつけるのはこの上ないメリットだといえる。