12本出しマフラーって正気かよ!! ステータスは火を噴くこと!? スーパーカーのマフラーの今後とは

本数や位置よりも「音質」「音量」「火を吹く」

12本出しカウンタックも実在! スーパーカーのシンボル「マフラー」の過激っぷりがすごかった!
かつて筆者が所有したフェラーリ458イタリア(撮影/池之平昌信)

 マフラーが左右分割だったのは、スーパーカーがV8やV12エンジンを搭載していたためだ。各バンクから排気管を後方に延ばすと、自然と左右分割出しになる。

 その常識を破ったのが、フェラーリF40の「中央3本出し」だった。

 カウンタックの12本出しマフラーも、中央に並べられてはいたが、あまりにも幅が広いので、中央というより「車幅いっぱい近く」のイメージ。対するF40は、明確に中央出しで、これは従来の常識を引っ繰り返すインパクトがあった。

 構造的には、V8エンジンの左右バンクから出た排気は左右1本づつにまとめられ、エンジンルーム最後部に横置きされた円筒形の消音器に導かれ、そこから3本に分割されていた。

 F40の登場から約20年後、フェラーリは458イタリアで、中央3本出しマフラーを復活させた。3本のマフラーのうち、通常の排気に使われるのは中央の1本だけで、左右の2本はアクセルを深く踏み込んだ時だけバルブが開き、排気が通過する。それによって、サウンドもスポーティになるという仕掛けだ。私がかつて458イタリアを所有した時は、「あのF40と同じ中央3本出し!」という事実に打ち震えたものである。その後、レクサスLFAも中央の3本出しを採用した。

 このように、スーパーカーの排気管は、本数の多さとその位置がキモなのだが、なにをどう頑張っても、「カウンタック12本出し」に勝てるマシンが出るはずもなく、多くのスーパーカー及びスーパーカー用の後付けマフラーメーカーは、本数や位置よりも「音質」「音量」「火を吹く」の3点で勝負するようになった。

「マフラーは上に」がスーパーカーのトレンドになるか?

12本出しカウンタックも実在! スーパーカーのシンボル「マフラー」の過激っぷりがすごかった!
上方排気の嚆矢、ポルシェ918スパイダー。ルーフの直後に排気口が見える

 その逼塞状態を打ち破ったのが、「上方排気」である。

 2010年、ポルシェは、カレラGTの後継モデルとして、918スパイダーを発表し、その後限定で市販化された。このマシンは、3.4リッターV8エンジンの外側から、エンジンフード直上斜めに排気するという、市販車(ほぼレーシングカーですが)として画期的な構造を持っていた。しかも、排気管出口の位置は非常に前寄り。あらゆる意味でこれまでの常識を打ち破っていた。

 レーシングカーでは、90年代のF1マシンなど、以前から上方排気は存在した。上方に排気することによってダウンフォースを得るという実利を狙ってのものだったが、本来下のほうにあるものを上に、より人間の視点の近くに持ってくるのは、暴走族の竹ヤリ的マフラー的な意味で、確実に威嚇効果がある。スーパーカーオーナーにとっても、憧れの取り回し。ポルシェがそれを実現したのは、「ついにこの日が来たか」と感慨深いものがあった。

 だだ、ポルシェ918の上方排気は、見た目は地味。後ろのクルマからはよく見えないし、威圧効果は低い。そもそもポルシェは、威圧のためにこうしたわけではないが……。

 この上方排気を、現在絶賛展開中なのが、マクラーレンである。

 マクラーレンは、「セナ」「720S」「600LT」で上方排気を採用。上方ながら位置的にはボディ後端に近いため、後ろのクルマからも視認することができ、威嚇効果は高い。600LTでは、上に向いた2つの排気口から火を噴く様子もキャッチされている。

 ランボルギーニは、アヴェンタドールの後継モデル(?)で、排気口を水平方向に向けたまま、テールの最も高い位置に置いた様子がスクープされている。フェラーリも、296GTBの排気口は、テール中央のかなり高い位置にある。

 もはや通常の排気口では、どうあがいても、それほどのインパクトは出せない。今後は「上のほうの排気口」がスーパーカーのトレンドになり、いろいろなバリエーションが展開されるのかもしれない。すべては、内燃エンジンが積まれている間の話だが……。

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