日産 マーチの生産終了から考える「キラリと光った個性派マーチ3選」

日産 マーチの生産終了から考える「キラリと光った個性派マーチ3選」

 2022年、誕生から40年の歴史をついに閉じた日産 マーチ。40年間も量販車種の座を守ってきただけに、さまざまな派生モデルが生まれた。それら歴代マーチのなかで特に強い個性を放ち、私のココロに刺さったモデルを3台、選ばせていただきました。

文/清水草一、写真/NISSAN

【画像ギャラリー】ありがとうマーチ!! 40年間みんなの街にマッチし続けたマーチの中にうまれた「個性派」たち(10枚)画像ギャラリー

■第3位:初代マーチ「スーパーターボ」

1989年に登場した日産 マーチスーパーターボ。前年に誕生した競技用車両「マーチR」の市販車版という位置付けだった
1989年に登場した日産 マーチスーパーターボ。前年に誕生した競技用車両「マーチR」の市販車版という位置付けだった

 初代マーチには、一度も乗ったことがない。正直なところ、初代マーチのデザインは好きになれなかった。巨匠ジョルジェット・ジウジアーロのデザインだと聞いても、信じられない気がした。

 確かに初代マーチは、その2年前に生まれたジウジアーロ氏の傑作、初代フィアットパンダを髣髴とさせなくもないシンプルなラインだが、パンダのような徹底した文房具感はなく、どこか中途半端。免許取り立ての青二才だった私には、単なる安グルマに見えてしまったのです。

 ただ、ラリーに勝つために1988年に誕生したマーチRは非常に印象的だった。なにしろ、MA10型エンジン(1000cc)のボアを2mm縮めて930ccに縮小したうえで、ターボチャージャーとルーツ式スーパーチャージャーを直列に装着した日本初のツインチャージドシステムを搭載していたのだ!

 低回転域ではスーパーチャージャーで過給し、回転が上がり始めると、4000rpm付近で電磁クラッチを切ってスーパーチャージャーの作動を停止し、ターボチャージャーのみで過給する、という仕組みだった。

 外観もインテリアもスパルタンで、ラリーマシンそのもの。ノーマルのマーチとはまったくの別物に仕上がっていた。

 マーチRはラリー専用だったので、競技者以外は縁がなかったが、日産はその市販モデル版として、翌1989年からマーチ「スーパーターボ」を投入した。

 なにしろ「スーパーターボ」だ。名前からしてインパクトは絶大。ターボスーパーチャージャーというメカの威力も絶大。これこそ、歴代マーチ史上、最高の派生モデルではないだろうか!?

 ただ、私は試乗したことがないので、今回は3位にさせていただきました。申し訳ございません。

■第2位:2代目マーチ「マーチBOX」

2代目マーチの派生車として1999年に登場した日産 マーチBOX
2代目マーチの派生車として1999年に登場した日産 マーチBOX

 2代目マーチは非常にいいクルマで、特に欧州で高い評価を得、日本車として史上初めて「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」も獲得している(1993年)。小さくて安いクルマなのに手を抜いておらず、足回りはしっかりしていたし、1000ccエンジンもコロロロロ~と非常に気持ちよく回った。

 ベース車両は非常にデキがよかったわりに、派生モデルはスカ続きだった。レトロデザインの「タンゴ」は悪夢そのもの。「ボレロ」はインチキ臭く、「ポルカ」にも絶句だった。

 マーチカブリオレは、世にも貴重な国産小型オープンカー。今、写真を見ると結構かわいらしくてステキに見えるが、実物は頑張りすぎ感があり、ぜんぜん楽しそうに見えなかった。ホンダのシティカブリオレは楽しそうなクルマだったが、マーチカブリオレには、そういう遊び心みたいなものが足りなかったのだ。

 2代目マーチはベースモデルが傑作なので、余計なことはしないほうがいいと言うしかありませんでした。

 モデル末期の1999年に登場した「マーチBOX」も、余計なことはしないほうがいい典型だったが、あまりにも間抜けなそのデザインは愚直で、どうにも憎めないかわいらしさがあった。

 実物は、特に斜め後ろから見ると、「なんでこんなことしたんですかー!」と言いたくなったが、フーセンみたいにふくらんだボディがどこか愛らしく、一度見たら忘れられないブサカワ感満点。販売はまったくぜんぜん不振だったが、それだけにレア感も高く、たまーに見かけると目が釘付けになった。

 今回は2位に入れさせていただきました。

次ページは : ■第1位:3代目マーチ「マイクラC+C」

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