【軽自動車部門】名デザイナーも惚れた革新的な軽も誕生
現在、国内販売の約4割を占める軽自動車。ほぼすべてのモデルが軽自動車枠いっぱい、同じ全長・全幅・全高を持っていながら、デザインは実に多様で、あらゆる世界が展開されている。
そんななか、平成30年間の傑作を3台厳選すると、こうなる。
・スズキ 初代ワゴンR
・三菱 i
・ホンダ 初代N-BOX
初代ワゴンRは軽の革命者。フロントエンジンのまま、タテ方向に空間を広げることで、軽の新たな可能性を切り開いた。
しかも、そのデザインは機能美の極致。カウンタックをデザインしたガンディーニ氏も、「世界で最も優れた自動車デザインは、ワゴンRなどの日本の小型車」と公言し、自身も輸出仕様のワゴンR(国内のワゴンRソリオに近いもの)を所有されていたという。
続いて、三菱i。ここまで未来的なフォルムの軽が登場するとは! しかも、決して奇を衒ったものではなく、フォルムもバランスも抜群だ。
RR(リアエンジン・リア駆動)レイアウトを採用したからこそのデザインで、あまりにもカッコよすぎてサッパリ売れなかったが、傑作であることは間違いない。
最近のモデルでは、初代N-BOXが秀逸だった。軽ハイトワゴンの決定版ともいうべきもので、ほぼ立方体のデザインは機能美に満ちている。それでいて四隅に張り出したフェンダーが、クルマであることをしっかり主張している。
この3台、甲乙つけがたいすばらしさがあるが、ベストデザインは初代ワゴンRに決めさせていただきました。初代ワゴンRのデザインは、禅における無我の境地とでも申しましょうか。見ているこちらまで清々しい気持ちにさせられます。さすがに最近見ないけど。
【輸入車部門】猛烈に豊かな何物かを伝えてくれた2台
平成30年間のワールドワイドなベスト自動車デザインはどれか?
あまりにも範囲が広すぎて、選ぶのは困難を極めるが、あくまでデザインに限定すれば、ジャガー XJ(現行)と、シトロエン C6(絶版)の一騎打ちではなかろうかと考える。
ともに大型セダンで、大型だけにいろいろやれることがいっぱいあるわけですが、決して余計なことはせずに、猛烈に豊かな何物かを伝えてくれた2台だった。それは、ヨーロッパ文化の奥深さであると同時に、人間の脳内イメージの複雑さにまで思い至らせてくれる、という感じでしょうか。
で、どっちがベストかですが、ここはエンスージアストらしく、消えてしまったものへの惜別の情を加味して、シトロエン C6にさせていただきます!
ちなみに、C6が日本に導入された2006年、故・前澤義雄さん(元日産デザイナー)は、このように評しておられます。
「あのデザインは、書道で言えば、太い線を一本引いただけのようなものだ。まったく企みがないように見せながら、極めて洗練されていて、強く主張している。立ち上る優雅さ、上質さ、丹精さ、心憎いばかりだ」
ただただ合掌。
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