気になるクルマの安全度は? いったいどこを見ればいい? 自動車アセスメント活用術

気になるクルマの安全度は? いったいどこを見ればいい? 自動車アセスメント活用術

 クルマの安全性はとても重要だが、ユーザーの立場からそれを調べることはかあり難しい。そこで国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が、実際に自動車を走らせたり衝突させたりして、安全性を評価していることをご存じだろうか。

 最近は試験項目が運転支援システムなどにも広がってきたため、試験の内容はクルマ購入にもおおいに役立つ。そこでJNCAP(自動車アセスメント)と呼ばれるその試験の中身を紹介するとともに、主だったクルマの成績をチェックしてみよう。あなたの愛車の意外な性能が分かるかも?

文/ベストカーWeb編集部、写真/自動車事故対策機構(NASVA)

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安全性能を3つの側面から評価

衝突安全と予防安全の試験項目一覧(NASVA資料から)
衝突安全と予防安全の試験項目一覧(NASVA資料から)

 ひとくちにクルマの安全といってもその実態は複雑なので、NASVAでは3つの切り口から評価を行っている。一つ目が事故を防いだりダメージを最小限にとどめるための「予防安全性能」、二つ目が事故が起きてしまったときの乗員被害を最小化するための「衝突安全性能」、三つ目が事故が起きてしまった際の救命率向上を狙った「事故自動緊急通報装置」だ。

 実際にはこの3つがさらに細かな項目に分かれている。たとえば衝突安全性能には「乗員保護性能」や「歩行者保護性能」「シートベルト着用警報」などが含まれ、さらに「乗員保護性能」が「フルラップ前面衝突」「オフセット前面衝突」「側面衝突」などに分かれるという具合。各試験項目には重要度に応じて配点が割り当てられていて、その合計得点でクルマの安全性能評価が決まる仕組みだ。

 試験項目はつねにアップデートされていて、新たな技術が普及してくると、その技術を評価する項目が追加されたりする。この2022年からも予防安全性能の被害軽減ブレーキの項目に「対自転車」が追加されている。ちなみに試験に使われる車両は、対策が施されないように抜き打ちでディーラーから購入されるそうだ。

 こうして行われた試験結果は、これまで年に2回まとめて発表されてきたのだが(年度末にはすべての結果をまとめたパンフレットも発行)、2022年からは車両ごとの評価がまとまり次第、公開されるようになった。

現代のクルマは総じて安全だが細かな点に違いが出る

2022年から新たに自転車に対する被害軽減ブレーキの試験も始まった(JNCAP動画より)
2022年から新たに自転車に対する被害軽減ブレーキの試験も始まった(JNCAP動画より)

 以下では主だった車両の試験結果を見ていこう。車名横の星は総合評価(最大5つ)、各性能評価の%は得点率を表す

●トヨタ ハリアー(★★★★★)

衝突安全性能:Aランク(87%)
予防安全性能:Aランク (100%)
事故自動緊急通報装置:先進型(100%)

 大人気のハリアーはおしなべて高得点だが、衝突安全の後面衝突時の頸部保護(運転席/助手席)、歩行者保護(頭部)、シートベルト着用警報で満点をとれなかった。衝突被害軽減ブレーキは夜間の歩行者に対しても満点だった。

●ホンダ ヴェゼル(★★★★★)

衝突安全性能:Aランク(89%)
予防安全性能:Aランク (96%)
事故自動緊急通報装置:先進型(100%)

 ヒット作ヴェゼルの衝突安全も非常に優秀な結果だが、歩行者保護(頭部)とシートベルト着用警報で満点を逸した。予防安全もほぼ文句ないレベルだったが、ヘッドライトの機能を見る「高機能前照灯」の項目で満点を逃した点が悔やまれる。

●トヨタ ノア/ヴォクシー(★★★★★)

衝突安全性能:Aランク(87%)
予防安全性能:Aランク (100%)
事故自動緊急通報装置:先進型(100%)

 総合得点ではハリアーと並んだノア/ヴォクシーだが、衝突安全のフルラップ前面衝突(車体の前面すべてをバリアに衝突させる試験)の運転席、およびシートベルト着用警報の項目で満点を満たさなかった。予防安全ではすべての項目で満点を取る優秀さをみせた。

●トヨタGR86/スバルBRZ(★★)

衝突安全性能:Bランク(86%)
予防安全性能:E ランク (2%)
事故自動緊急通報装置:装備なし(‐)

 日本を代表するスポーツカーだが、運転支援(アイサイト)を搭載しないMTモデルの試験だったため、成績は奮わなかった。衝突安全では前面衝突や側面衝突は優秀だったものの、後面衝突時の頸部保護がいま一つ。アイサイト搭載車ならまるで結果は変わったはず。

●マツダCX-30(★★★★★)

衝突安全性能:Aランク(89%)
予防安全性能:Aランク (84%)
事故自動緊急通報装置:先進型(100%)

 マツダの人気SUVは衝突安全で非常に優秀な成績となった。歩行者保護(頭部)で減点があったものの他項目すべてが満点なのは素晴らしい。予防安全も見事な成績だが被害軽減ブレーキの夜間の歩行者認識で減点があった。

●三菱アウトランダーPHEV(★★★★★)

衝突安全性能:Aランク(86%)
予防安全性能:Aランク (100%)
事故自動緊急通報装置:先進型(100%)

 プラグインハイブリッド市場で人気ワンバーワンのアウトランダー。安全性能も非常にすぐれたものとなった。衝突安全ではオフセット前面衝突の後席、歩行者保護(頭部)、シートベルト着用警報が4点だったものの予防安全では全項目で満点を取り、優れた運転支援機能が実証された形となった。

●日産ノート/ノート オーラ(★★★★★)

衝突安全性能:Aランク(86%)
予防安全性能:Aランク (99%)
事故自動緊急通報装置:先進型(100%)

日産のノート/ノート オーラも非常に優秀な成績で予防安全では全項目でほぼ満点だった。衝突安全でも歩行者保護(頭部)を除き満点で、安心して乗れるコンパクトカーという印象を受けた。

●スズキ ソリオ/ソリオ バンディット(★★★★)

衝突安全性能:Bランク(78%)
予防安全性能:Bランク (87%)
事故自動緊急通報装置:装備なし(‐%)

 スズキのコンパクトワゴンのソリオ/ソリオ バンディットだが、衝突安全ではフルラップ衝突(運転席側)、およびオフセット前面衝突(ボディ前面の40%をバリアに衝突させる試験。エネルギーが集中するためフルラップよりも難易度が高い)の後席が5点満点中3点だった。予防安全では車線逸脱抑制が同じく3点、高機能前照灯が4点という結果に終わった。

 いかがだっただろうか。もちろん自動車アセスメントの対象となったクルマはこれだけではなく、すべての車両の試験結果はJNACAPホームページから閲覧できる。試験の動画はYouTubeの専用チャンネルでも公開されているので、自分の愛車の安全性能をぜひ確認してみてほしい。

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