感動大作か言い過ぎか!? 秀逸すぎる自動車メーカーのキャッチコピー

技術力への自信を表すコピーの魅力 ―日産―

感動大作か言い過ぎか!? 秀逸すぎる自動車メーカーのキャッチコピー
矢沢永吉氏のセリフとともに有名になった「やっちゃえ日産」のフレーズ。2021年2月にはこのフレーズを使ったCMが日テレCM大賞2020を受賞している

 以前は「技術の日産」とも言われていた日産だが、このフレーズは、1960年代に日産が吸収合併したプリンス自動車が「技術のプリンス」を標榜していたことに端を発する。そのまま社名を変えたのが「技術の日産」だが、これはメーカー自らがイメージ戦略として掲げたキャッチコピーとは少々異なる。

 そんな日産の最近のキャッチコピーが「やっちゃえNISSAN」と「ぶっちぎれ 技術の日産」だ。2015年に採用された「やっちゃえNISSAN」は、CMキャラクターを務めた矢沢栄吉氏のセリフでも注目を集めた。2020年からはCMキャラクターが木村拓也氏に変わっているが、「やっちゃえNISSAN」は継続して使われている。

 ただし汎用性の高いフレーズだけあって、2018年に当時同社会長だったカルロス・ゴーンが逮捕された騒動の際には「やっちまった日産」などと揶揄されてしまったことも……。

 「ぶっちぎれ 技術の日産」は2017年に登場したキャッチコピーで、この時期にデビューしたEV(電気自動車)のリーフ新型に合わせたものだ。技術力の強調からよりインパクトのあるイメージ重視のキャッチフレーズへと変化した裏には、日産のプロモーション戦略とともに時代の空気が変わってきたことも考えられる。

(編集部注/これはCI(コーポレートアイデンティティ)コピーではなくクルマ単体のコピーですが、1990年のセレナの広告キャンペーンで使われた「モノより思い出」というフレーズは、30年経ってもまったく色褪せず、むしろ現在まで続く自動車メーカーの商品へのあり方の基盤(「カー」だけでなく「カーライフ」を作って売る、という思想)を支えている秀逸なものだと思います)

夢の力をクルマにのせて ―ホンダ―

感動大作か言い過ぎか!? 秀逸すぎる自動車メーカーのキャッチコピー
近年はN-BOXの大ヒットなどで注目されているホンダ。「The Power of Dreams」は創立者・本田宗一郎氏の著書に由来するフレーズで2001年から採用

 ホンダが2001年から使用しているキャッチコピーが「The Power of Dreams」。直訳すれば「夢の力」だが、これはホンダ創立者である本田宗一郎氏の著書『本田宗一郎 私の履歴書 夢を力に』が出版されたことがきっかけだという。

 「The Power of Dreams」は現在でもホンダ車のTV CMなどに使用され、定着しているコピーだが、2010~2012年の「負けるもんか。」も話題になった。新たな技術に挑戦し、たとえ失敗してもくじけない企業の姿勢をうたった「負けるもんか。」は、リーマンショックや災害などで沈みがちな人々の心に訴えかける何かがあった。

 「負けるもんか。」に続いて登場したのが「面白いから、やる。」だ。生活や社会に関することではなく、まずは自分の好奇心を優先して物事に取り組む意志を強調する「面白いから」に触発された人も多いはず。

日本最大のメーカーは英語好き? ―トヨタ―

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トヨタは2018年の新型カローラハッチバック発表の際に、かつて使用していた「Fun to Drive」のフレーズを用いて、ドライブする楽しさの再発見を提唱した

 「いつかはクラウン」という印象的なキャッチコピーで知られるトヨタだが、これはクラウンという車種のコピーであり、企業コピーとは別。そこでトヨタが掲げたキャッチコピーを見てみよう。

 比較的最近のものでは「Drive Your Dreams」や「FUN TO DRIVE, AGAIN」、そして「Start Your Impossible」など。どれも簡易な英語であり、日本人でも理解しやすい。ただし、英語圏の国や英語の理解度が深い国でこれらのキャッチコピーは使用されておらず、各国で別のコピーが用意された。

 トヨタが日本国内で採用した日本語キャッチコピーの最後が「クルマが未来になっていく」で、これは1998年に登場。つまり今世紀に入ってからは英語のコピーのみが採用されている。さすがは“世界のトヨタ”といったところか?

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