カッコ良さなら東西髄一? ―BMW―
ドイツのBMWが掲げていたキャッチコピーが「Freude am Fahren(フロイデ アム ファーレン)」。ドイツ企業のBMWらしくこのコピーもドイツ語だが、まずは英語に訳してみると「Driving Pleasure」となり、日本語では「運転する楽しさ」といったところ。
キャッチコピーとしての「Freude am Fahren」が登場したのは1965年。原語となるドイツ語では韻を踏んだ表現であり、響きの良さからも長年使われることになった。
そして注目したいのが、国内では「Freude am Fahren」を「駆けぬける歓び」と訳したこと。「運転」や「操縦」、あるいは英語の「ドライビング」ではなく、あえて「駆けぬける」としたことにセンスが感じられる。
その「Freude am Fahren」に変わるキャッチコピーは2007年に発表された「EfficientDynamics(エフェシエント ダイナミクス)」で、これは「効率的な力学」とでも訳せるもの。本国でも英語を採用したことにグローバル化の波を感じる。
このほかBMWには「The Ultimate Driving Machine(究極のドライビングマシン)」というキャッチコピーもあった。
その他のメーカーはどんなキャッチコピーを採用している?
最後は各メーカーの注目キャッチコピーを一気に見ていくことにしよう。
●「小さなクルマ、大きな未来」 ―スズキ―
軽自動車を主力にするスズキのキャッチコピーは、わかりやすさならトップクラス。シンプルなことにも好感が持てる。
●「Light You up」 ―ダイハツ―
「光」と「軽やかさ」のダブルミーニングでもある「Light」を使うことで、世界中の人々が「自分らしく軽やかに輝くモビリティライフ」を送れるようにとの願いが込められている。
●「Drive your Ambition」 ―三菱自動車―
「志を動かす」とでも訳せるこのキャッチコピーは、クルマ社会の変革期を迎えるにあたり、三菱自動車が進む道を示すメッセージでもある。
●「Confidence in Motion」 ―スバル―
スバルが2010年に掲げたキャッチコピー(ブランドステートメント)がこの「Confidence in Motion」。「革新を続けつつ、ユーザーに安心と愉しさを約束する」という意味なのだが、正直、少々わかりにくい感は否めない。
●「There is no substitute」 ―ポルシェ―
「ほかに代わるものがない」はポルシェのキャッチコピー。高性能かつ個性的なクルマを世に送り続けるポルシェの強烈なプライドを表している。
●「We are not supercars, we are Lamborghini」 ―ランボルギーニ―
「我々はスーパーカーではない、我々はランボルギーニなのだ」。このフレーズにもポルシェ同様にランボルギーニのプライドの高さがうかがえる。
今回は国内外自動車メーカーのキャッチコピーをチェックしてみたが、日本メーカーの英語率の高さと、海外メーカーの自社製品に対する誇りに注目したい。特に日本のメーカーが、母国語よりも英語のキャッチコピーのほうが多いのは、日本人の横文字好きを反映していて興味深い。
また、日本のメーカーがどちらかというとユーザーに寄り添う内容のキャッチコピーが多いのに対して、海外ではとにかく自分(自社)を前面に押し出していることに東西のプロモーションに関する考えの違いが見て取れる。
今後も各メーカーからはさまざまなキャッチコピーが登場するはずだが、キャッチコピーには企業のポリシーだけでなく時代の空気が色濃く反映されるため、コピーを見れば、現在がどんな時代なのかがわかるだろう。
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