あおり運転で判決 懲役18年の理由 そして追突したトラックに罪はあるのか?

 東名高速でのあおり運転による死傷事故。最初の判決が2018年12月に言い渡された。罪名は危険運転致死傷罪、そして判決は求刑23年に対し懲役18年。

 この判決は裁判員の意見を反映したものであり、実際に難しいとされた「危険運転致死傷罪」が適用されているところにも注目したい。

 しかし一点気になるのが、本線上に停止していた被害者の車両に追突した大型トラックの運転手への判決だ。運転手は「自動車運転過失致死」で書類送検されている。

 今回のような凶悪な事件に対し、いったい法律はどのように運用されるべきなのだろうか。

文:国沢光宏/写真:AdobeStock
ベストカー2019年1月10日号


■裁判員裁判の結果を高裁はどのように受け止めるか?

 東名道のあおり事件で懲役18年という地裁判決が出た。法曹関係者は口を揃えて「最高刑20年の危険運転致傷罪や監禁致傷罪を適用するのは法律の拡大解釈になるため難しい」と言っていた。

 しかし、一般人も判定を行う裁判員裁判ということもあり、危険運転致死傷罪が適用されたと思う。一般の人の感情を反映したということで裁判員裁判の特徴がキッチリ出ている。

 私はこの判決を尊重すべきだと強く思う。むしろ求刑23年に対し18年になったことに納得できないです。今後はどうなるか?  おそらく加害者は控訴するだろう。

 高裁だと裁定はすべて法曹関係者になる。当然ながら拡大解釈に対し強い抵抗感持つだろうが、「シロウトの裁判など関係なし」とばかりに違う判定をすると裁判員制度を法曹界で否定することに。

一般市民が判決にも携わる裁判員裁判。市民感覚での裁判が期待されるが、高裁などで判決が覆されることは多々あるのも現状

 高裁としちゃ裁判員制度の可否を判定できないため、一審を踏襲するんじゃなかろうか。最高裁まで進む可能性大きく、最終的な裁定出るまで数年かかるかもしれません。

 危険運転致傷罪の適用で大きな問題となるのが文字どおり「危険な運転とは何か」ということ。

 今回検察は「高速道路で4回にわたり前に出るなど危険な運転をした」とし、それが停止した後の死亡事故と因果関係あると認めた。

 この判決について複数の法曹関係者に聞いたら「気持ちはわかるけれど拡大解釈だと思います」。というのも危険運転が直接死亡事故になったワケじゃないからだ。

 拡大解釈していけば、法律より心情が優先される韓国のような状況になる。

■被害車両に追突したトラックに責任はあるのか?

 また、今回の判決のベースにあるのは「高速道路の追い越し車線で停止させれば死亡事故になることがありうる」という点である。この点、大いに評価したい。

 というのも神奈川県警は追突した大型トラックを『自動車運転過失致死』で書類送検してます。

 起訴猶予になっているけれど警察は「追い越し車線に止まっている車両を避けなかったから違反」と認定しているワケ。

 起訴猶予ということで刑事罰こそないが、行政処分の根拠になる違反点数についてはキッチリ加算させられるということ。

 もし神奈川県警の主張を正しいとしたら、高速道路の本線上で止まっていた被害者を死亡させた原因は、追突した大型トラックの運転手になる。

 法曹関係者も高裁や最高裁でこの点は争点になると言う。自動車の専門家としては地裁の判断が正しいと考える。

 高速道路上で止まっていたら避けられない。この事件を機に、高速道路の追い越し車線に停車していた車両(歩行者を含む)と衝突した時の責任をキッチリ決めるべきと思う。

 そして走行している側の車両を、渋滞など予見された状況になければ免責すべき。当然ながらあおり運転で止めたほうは、危険を作り出したことになる。

 最近の警察を見ているとあおり運転=暴行で逮捕する傾向。それが原因で死亡したなら、傷害致死だ。何より今回はクルマを移動の道具として使っていたのでなく、刃物と同じ凶器として使っている。

 だったら危険運転致傷という道交法より傷害致死という刑法犯が妥当。最高刑20年です。

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