■BMW320d、ベンツC200とS字でコーナーリングを競う
例えば左→右のS字ならば、ステアリングを左に切り込むことで右フロントサスペンションが沈み込み、続いて右リアサスも沈む。反対側の左前後サスは伸び始める。こうしてクルマはロールと呼ばれる姿勢になり、コーナリングを開始。
そして今度は一気にステアリングを左から右に切り直す。サスペンションの動きが一気に反転し、「よっこらしょ!」という声がクルマから聞こえてきそう。反動を伴うこの動き、次の右コーナーへと向かう動きの早さと安定感、そして反動ゆえに左側のサスペンションがオーバーシュート(行き過ぎる)するレベルと安定感がキモとなる。
特に、操舵を受け持つフロントタイヤに真っ先にストレスがかかるから、この切り返しの動き(左 → 右)では左フロントが大きく沈み、対角線上の右リアが伸びて接地性が失われる。
サスペンションの動きに関してはWRX S4 STIスポーツとベンツC200は似たようなレベルにある。おそらくバネレートは近い。ただC200はサスペンションの縮み始めに抵抗感が少なく、スッと沈み込む。ダンパーの初期減衰力が弱くツッパリ感が少ない。
■メルセデスベンツC200アヴァンギャルド(552万円)
●全長×全幅×全高:4686×1810×1442mm
●ホイールベース:2840mm
●車重:1550kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1497cc
●最高出力:184ps/5800~6100rpm
●最大トルク:28.6kgm/3000~4000rpm
●JC08モード燃費:13.6km/L
●トランスミッション:9速AT
●タイヤサイズ:225/50R17
●車両本体価格:552万円
ただし、フルにロールした時のストローク感は似ている。ともにバンプストッピングラバーでバンプするストロークを意図的に止めて、S字の切り返しの反動に備えている。ダンパーの減衰力はWRX S4 STIスポーツのほうが強く、スタビライザーも強い。
ベンツC200はロールが速いので対角線上のリアの伸びも大きい。なのに、リアが安定していて躍動感がある。WRX S4 STIスポーツはリアをある程度硬くして、フロントの動きの影響を少なくしてリアを安定させている。これはボディ剛性に自信があるからできるセッティングだろう。
ところが、この2車に対してまったく異なる足さばきを見せたのがBMW320dだ。実はこのモデルはMスポーツ仕様で、電子制御可変減衰ダンパーのアダプティブMサスペンションが装備されていたのだ。これまでの2車と比較して圧倒的に減衰力もバネレートもソフト。サスペンションの縮みも伸びもストロークが長くロールも大きい。
■BMW320d Mスポーツエディションシャドウ(636万円)
●全長×全幅×全高:4645×1800×1440mm
●ホイールベース:2810mm
●車重:1570kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1995cc
●最高出力:190ps/4000rpm
●最大トルク:40.8kgm/1750~2500rpm
●JC08モード燃費:21.4km/L
●トランスミッション:8速AT
●タイヤサイズ:225/40R19
●車両本体価格:636万円
※エディションシャドウ
しかし、S字での動きは驚くほどステアリングに忠実で、切り返しのMAXに荷重が移動する瞬間もしなやかに落ち着いた動き。動きが大きいのに思いどおりのラインへ持っていくことができ、サスペンションがソフトだから乗り心地もいい。
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