■初代インテグラタイプR
初代インテグラタイプRは、死ぬ前に乗っておきたいクルマの一つだと思います。ではなぜ初代インテRなのか?
ボディ剛性の面からいえば、2代目インテRのほうが上ですし、エンジンに関してもF20C型2L、直4VTECを搭載するS2000のほうが、250ps/22.2kgmと勝っています。さらにいえば、B16型1.6L、直4VTEC(185ps/16.3kgm)を搭載する初代シビックタイプRもあります。
キーを捻ってエンジンを掛け、アルミのシフトノブを介して1速に入れ、右足を踏んで加速していくフィーリングは、いまだに忘れられません。前輪が空回りし、トラクションが不足しながらの圧倒的な加速フィールは衝撃でした。
天邪鬼かもしれませんが、S2000は確かに最高のクルマでした。シャシー、ボディ、エンジンすべてにわたって完成度が高く(インパネは味気ない)、むしろサーキットじゃないと、その魅力は楽しめないと感じました。つまり、限界が高いのです。
その点、1060kgの初代インテRのボディはS2000に比べるとちょっとヤワなので、限界点が低い。山坂道や大黒パーキングから首都高に出る際の360度コーナーなど、そんなに飛ばさなくてもドキドキするほどの興奮が味わえたのです。
手作業のポート研磨や専用のピストン&カムシャフトを備えるB18CスペックRは、低速から高速へカムが6000rpmほどで切り替わってからは、まるで別物のように一段とシャープさが増していき、レブリミットの8400rpmを超えても衰えない回転フィール。
今ではこれほど、怖いくらいのレスポンスを持つクルマはそうそうないのではないでしょうか。タイヤが太く、ボディ剛性が高く、車重が重いため(衝突安全性や安全装備のせいで)、素のコットンシャツがインテRだとしたら、現在の安全装備テンコ盛りのクルマは、それに革ジャンかダウンジャケットを羽織った感じで、ちょっと過剰な感じがあります。この素のコットンシャツと、身体と一体になる感覚は、ネオクラシックカーのよさであると思う。
初代インテRは年式によって3つのモデル、96スペックと98スペック、00スペックがあります。96スペックRは1995年10月に登場した前期型で、その後、1998年1月のマイナーチェンジで195/55R15サイズの4穴114から215/45R16サイズの5穴114に変更されたのをはじめ、最終減速比が4.400から4.785にローギアード化され、エキゾーストマニホールドがスチールからステンレス製に。
さらにブレーキキャリパーの大型化&ローター径1インチ拡大、モノコックの剛性強化などが挙げられます。エクステリアもヘッドライトがハロゲンからHIDになったり、リアバンパーやテールレーンズの形状に若干の違いがあるなど細かいところにも違いはあります。
00スペックは基本的には98スペックと変わりはありませんが、法規制に対応するため、型式がE-DC2からGF-DC2に変更されています。細かいところではセンターコンソールにシリアルプレートが装着されたり、スポーツペダルや電動格納式ミラー、カーボンパネル、キーレスエントリーなど装備が充実しています。
初代インテRの中古車価格帯は158万~889万円と、爆上がり中です。889万円の個体は整備記録簿13枚付きの走行距離1.6万㎞で飛び抜けて高い。次に高いのが走行距離1.3万㎞の96SPECが529万円、以下400万円代は5万㎞以下の極上車、300万円以下は10万㎞代が多くなってきます。
個人的にはいいなと思ったのは98スペック R、走行距離2.8万㎞の個体。ただし価格は416万円。つい2、3年前は250万円前後で買えたのに……。
では96スペックか、98スペック、00スペック、どれがいいのかですが、性能と価格のバランスを考えると、98スペックとなりますが、そこはやはり20年以上前の中古車ということを考えると、“程度重視”になるでしょう。
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