レンタカーのナンバープレートを見ると、下段のひらがなの部分が「わ」又は「れ」になっている。これをバスに置き換えると、しょっちゅう見かけるのは「か」ナンバーだ。もしかして日本全国、バスのナンバーは全部「か」なのだろうか?
文・写真:中山修一
■「か」天下であるのは確かだけれど……
街に出てバスのナンバープレートを観察してみると、やはり真っ先に目に留まるのは「か」ナンバーである。だが、さらによーく見続けていくと、「あ」や「い」などのナンバーを取り付けた車両が走行しているのに気付くはずだ。
路線バスや高速バス・貸切バス問わず、お金を取って人を運ぶ事業用車で定員11人以上の車両の場合、「か」だけでなく他のひらがなも割り当ての対象になっている。
具体的には「あ」「い」「う」「え」「か」「き」「く」「け」「こ」「を」の10種類が、いわゆるバスのナンバーに使って良いことになっている。
とはいえナンバーを取得する際、基本的には「か」が最初に割り当てられるので、街中で圧倒的多数を占めるのは「か」ナンバーであるのは間違いない。
■どんなときに「か」ではなくなる?
「か」ではないナンバーのバス車両が登場するタイミングや事情はあるのだろうか? まず考えられるのが、「か」ナンバー枠の数字の組み合わせを全て使い切ってしまった時だ。
1999年よりも前の、ナンバー上段の数字が2桁(バスは大抵22)だった時代に登録された車両で「き」ナンバーを取り付けているものがある。
当時のナンバープレートは陸運局に全て「お任せ」であったため、意図的に管理されていた可能性もなくはないが、単純に数字の組み合わせがなくなり「か」から「き」にスライドしたと思われる。
2023年現在、数こそ相当減ってきているものの、ナンバー上段の数字が2桁の路線車が使われている地域もまだあり、そのナンバーを見ると「き」が多かったりする。
■ひらがな増加の転換点? 希望ナンバー制度
1999年以降になると勝手が変わってくる。ちょうど同じ年に、下段の1〜4つの数字を組み合わせて選べる「希望ナンバー制度」が開始されている。
希望ナンバー制は一般の乗用車だけでなく、事業用を含めた大型車の登録時にも利用できる。バスに希望ナンバーを付ける必要なんてあるの? と思いたくなるが、バスにはバスで以下のような理由や事情が挙げられる。
(1)バス車両の車体番号とナンバープレートの数字を合わせたい
(2)同じ営業所内の車両のナンバーを通し番号にして管理しやすくしたい
(3)同じ営業所内の車両のナンバーを全部同じにしたい
(4)縁起のいい数字や、語呂の良い数字にしたい などなど
かなり需要が高いようで、よくよく見れば意味深長な数字を組み合わせたナンバーがあちこちに……実は普通に申請してランダムで発行されたナンバーよりも、希望ナンバー付きのバスのほうが今や多数派に躍り出そうな勢いなのだ。
希望ナンバーが増えれば増えるほど、既に使われていて新規登録ができなかったり、他の希望者とカブりやすくなったりして「か」の枠がすぐにパンクしてしまう。それに善処するなら「か」以外のひらがな枠を解放するのが簡単だ。
全部が全部そうではないものの、最近のバス車両で「あ」や「い」など、「か」ではないナンバーが付いていれば、希望ナンバーで登録している車両の確率が極めて高い。