その手があったか! 自動車メーカー各社は長い納車待ちに頭を痛めているが、ダイハツが思いがけない策に出た。一部の車種にアイドリングストップをキャンセルした仕様を投入したのだ。なんでアイドリングストップを止めると納期が短くなるのか? 理由を解説しよう!
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部
■生産のボトルネックとなっている半導体の削減が狙い
ダイハツがタント(フレンドシップシリーズを除く)とタフト、ムーヴキャンバスに「eco IDLE非装着車(=アイドリングストップレス仕様)」を設定し、4月11日から発売すると発表した。文字通り信号待ちなどでのアイドリングストップをキャンセルしたモデルだが、投入の理由は部品供給不足を解消し、納車待ちの短縮につなげるためだという。
なぜアイドリングストップ「なし」が納期短縮と関係するのか? 鍵となるのは半導体だ。
現代のクルマには膨大な数の半導体が使われている。なかでもコンピュータのCPUなどに搭載されるロジック半導体は、エンジンからエアコン、カーナビまでありとあらゆるところに使われるクルマの脳みそ。そのロジック半導体の供給が圧倒的に追いついていないのだ。
正確にいうと、スマホやノートパソコンに搭載される最先端のロジック半導体は供給が追い付きつつある。しかしもっと安価で、大量に使われる自動車向け半導体は、利益率の低さなどもあって生産が回復しないのだ。
そこで自動車メーカーが考えたのは、ボトルネックとなっている部品の半導体利用を削減すること。たとえばトヨタは、納車時に渡されるスマートキーを2個から1個に減らした(もう一つは納車後に届く)。これはスマートキーの中に仕込まれた通信用チップが払底しているためだが、100個の通信チップで50台しか納車できなかった状況が100台に倍増するのだから、効果的な対策といえる。
今回のダイハツのアイドリングストップレス化も理由はまったく同じだ。アイドリングストップと口で言うのは簡単だが、それを実現するにはバッテリー電圧などを監視しながら車速センサで停止を判定し、クラッチやブレーキの操作によってエンジンを再スタートさせるアイドリングストップ用ECUが必要になる。そのための半導体調達が生産のボトルネックとなっているので、この機構をスキップしようと考えたのだ。
今回対象となった車種の納期だが、タントとタフトは3か月、ムーヴキャンバスに至っては5カ月程度の納車待ちが発生しているもよう。アイドリングストップレス化によってどのくらいの納期短縮になるかは今のところ不明だが、ほしいクルマにすぐ乗れる時代が早く到来してほしいものだ。
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コメントの使い方アイドリングストップ機能なしでも燃費の国土交通省審査値、届出値はかわからないのかな?