東京オートサロン2023(以下TAS2023)でトヨタが公開した、2台のAE86ゼロエミッション車。40年以上も前のオリジナルデザインのまま、パワーユニットをそれぞれ、水素エンジンにしたトレノと、バッテリーEVにしたレビンは、トヨタブースにおいて、ひときわ注目を浴びていた。運転を楽しめるよう、マニュアルトランスミッションもそのまま残されているというプレゼント付きだった。
こうしたクルマたちが登場した当時と今とでは、安全性能への厳しさが大きく異なり、自動車メーカーでは、同じデザインの復刻車をつくることはできない(新規生産では、現代の法規を守る必要がある)。
もちろん、すでに市販されたクルマであれば、そのまま乗ってもよいわけだが、カーボンニュートラルや騒音規制が厳しく求められるなかにおいて、自分だけCO2をたくさん排出してしまったり、大きなエンジン音を出すことは、気が引けるもの。自分の好きなクルマをBEVや水素エンジン化して、カーボンニュートラルの時代でも後ろめたさなく走りたい!! ということで、AE86 EV化プロジェクトのように「あの頃の長所を残しながらEV化」を条件に、コンバートして乗りたいクルマを4台、独断と偏見でピックアップしてみた。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、HONDA、TOYOTA、SUBARU
珠玉の名機を水素エンジンに!! 「日産 R32型スカイラインGT-R」
平成に登場した数あるスポーツカーの中でも、ひときわ人気の高い、日産「R32スカイライン GT-R」。デビューから30年以上が経過した現在も、その人気は衰えておらず、当時オーナーだった方が、懐かしさから再び入手する「リバイバル現象」も起きている。
このR32スカイラインGT-Rを名車に仕立て上げたのは、ご存じ、2.6リッター直列6気筒のツインターボエンジンの「RB26DETT」だ。「名機」といわれる、このRB26DETT市販モデルのエンジンスペックは、最高出力280馬力、最大トルク40.0kgmとされていたが、レース用にチューンナップすることで、500馬力以上まで上げられるポテンシャルを持っていた。
この名機を、5速マニュアルトランスミッションも残しながら、水素燃焼エンジンへとコンバートできないだろうか。現在のスポーツカーのような空力重視のスタイリングとは違い、すっきりとしたエクステリアデザイン、ささやかなリアスポイラー、そして16インチサイズのホイールなど、ノスタルジーな雰囲気に憧れる方は多いはず。これが実現できれば、いくらかかっても「コンバートしたい」と思うファンは多くいるはずだ。
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