これから主流4WDで覚えておくと便利な「FFベース」と「FRベース」の長所と短所

FFベースの4WDは、4WD制御でアンダーステアを回避

 FFベースの4WDは、一般的に、エンジンとトラスミッションを横置きにし、デファレンシャルギアを介して前輪を駆動します。4WD化するためには、トランスミッション内にトランスファーギヤを設けて、ここから車体後方にプロペラシャフトを介して、リアアクスルのデファレンシャルへと繋ぎます。

 FFベースの4WDは、ベースのFFと同じくフロンヘビーですので、アンダーステア傾向といえますが、FFベースがFRベースよりもハンドリング性能が劣り、曲がりにくいというのは、過去の話。FFベースでも、シャシー設計の進化や、高度な電子制御による駆動力配分の最適化により、FRベース4WDに負けないハンドリング性能を実現しているクルマはたくさんあります。

 例えば、トヨタのGRヤリスでは、スポーツモードで前後輪駆動力を30:70に設定して、FRのようなドリフト走行が楽しめることが、話題になっています。

 また昨今、多くの車種で採用されるようになったのが、後軸に配置したモーターで後輪を駆動する電気式の4WDシステムです。トヨタはE-Four、日産はe-POWER 4WDなど、呼び名は異なりますが、やっていることは一緒です。FRよりも比較的簡単に低コストで4WD化が可能であり、また、オンデマンド4WDと組み合わせることで簡易なシステムから高精度なシステムまでつくることができる自由度の高さがあるため、現在は、このシステムが普及しています。最近では、FFベースの4WDに変更して注目された新型「クラウン」も、後輪を電気式4WD化したシステムです。

2020年に登場いたGRヤリス。トヨタ独自のスポーツ4WDを搭載、FFベースながら駆動力配分を変えて様々なドライブフィールを実現
2020年に登場いたGRヤリス。トヨタ独自のスポーツ4WDを搭載、FFベースながら駆動力配分を変えて様々なドライブフィールを実現

駆動力配分の最適化によってFFとFRの弱点を解消

 最新の4WD制御は、アクセル開度や車輪速、ギア段、ステアリング舵角、ヨーレートなどの各種センサー情報を使って、走行状況に応じて最適な前後駆動力になるよう、リアルタイム制御や予測制御を行います。

 これによって、FRベース、FFベースに関わらず、FR固有のオーバーステア寄りの特性やFF固有のアンダーステア寄り特性を、解消したり、あるいは逆に強調したりして、安定性と意のままのハンドリングを実現しているのです。モーターを使ったハイブリッド4WDでは、その自由度がさらに向上することが期待できます。

急旋回時に発生しやすいFF車のアンダーステアとFR車のオーバーステア。(イラスト:著者作成)
急旋回時に発生しやすいFF車のアンダーステアとFR車のオーバーステア。(イラスト:著者作成)

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 今後、ハイブリッド4WDやBEVがさらに普及することで、4WD車の比率は上がってくると予想されます。ご紹介したように、4WD制御技術の進化によって、FRベースでもFFベースでも、それぞれの弱点を解消しつつ強みを生かすことができるようになるため、FRベース4WD、FFベース4WD、といった議論そのものが意味を持たなくなる可能性があります。将来的に、各駆動輪にモーターを配置するインホイールモーター方式が登場したら、それこそFRベース、FFベースの論議はどうなっていくのか、興味深いですね。

【画像ギャラリー】「FFベースの4WD」でも素晴らしいハンドリングを実現した、新型「クラウン クロスオーバー」(13枚)画像ギャラリー

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