■自賠責は任意保険と違い、損でも得でもいけない
そして自賠責保険は、任意保険と異なり「ノーロス・ノープロフィット」、つまり損をしてもトクをしてもいけない考え方が適用される。そのために値上げと値下げを繰り返す傾向が強い。
単純にいえば、値上げすると保険収支が黒字になるから、これを貯め込む。次に値下げすると、保険収支が赤字になるから、貯めた保険料を吐き出す。このように値上げと値下げによって収支のバランスを取り、「ノーロス・ノープロフィット」を守ってきた。
そこで近年の自賠責保険料の推移を振り返ると、2002年に値上げされた後、2005年と2008年は2回続けて値下げした。その後、2011年と2013年には再び2回続けて値上げされている。
そして2017年/2020年/2021年は、3回連続して値下げされた。さらに2023年にも値下げするわけだ。
このうち、2013年の値上げでは小型/普通自家用乗用車の37カ月分が4万40円に達していた。この保険料が2023年4月の改訂後は2万4190円まで下がるから、小型/普通自家用乗用車の自賠責保険料は、約10年前の60%に収まる。
最近、自賠責保険料が値下げを続ける理由は、衝突被害軽減ブレーキなどの普及によって車両の安全性が高まり、対人賠償を伴う事故件数と保険金の支払い額が減ったからだ。自賠責保険が最近のように一貫して値下げを続けることは珍しい。
■果たしてクルマの購入タイミングはいつが正解か?
そこで気になるのがクルマの購入タイミングだ。通常であれば、3月までに購入(小型/普通車は登録、軽自動車は届け出)して決算値引きを拡大させるか、4月以降にして遅らせて自賠責保険料を安く抑えるかで迷う。
通常の結論は、小型/普通自家用乗用車が購入時に納める37カ月分の値下げ幅は3580円だから、自賠責保険料が少し高くなっても3月中に購入して、決算期の値引きやディーラーオプションのサービス装着を狙うほうがトクをする。
しかし、今は納期が極端に長い。トヨタの販売店によると「2023年2月上旬に契約をいただいて、3月中に納車できる車種はほとんどない。強いて挙げれば、わずかに残るパッソやルーミーの在庫車程度」という。
つまり、2023年2月に入って新車の契約をすれば、登録や届け出は必然的に4月以降に行われ、自賠責保険料は安く抑えられる。それでも万が一、「今なら3月の登録に間に合うから、決算値引きで安く販売できる」という話があったら、自賠責保険料が高まっても3月中に購入するほうがトクをするだろう。
【画像ギャラリー】4月から値下げとなる「自賠責保険」だが、新車購入は3月までと4月以降のどちらが吉となる?(9枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方