金融庁の自動車損害賠償責任保険審議会は2023年4月から自賠責保険料金を全車種平均で11.4%引き下げることを決定した。先進運転支援システムなどの普及で交通事故が減少し、前回の基準料率改定時の想定以上の黒字となっているのが理由だとか。そこで気になるのが新車購入時期。3月までか、それとも4月以降か?
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部、AdobeStock
■自賠責保険料が引き下げに
クルマのユーザーが利用する自動車保険は、加入が義務付けられている自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)と、任意保険に大別される。
このうち、自賠責保険が補償するのは対人事故だけだ。しかも死亡による保険金は3000万円、後遺障害でも4000万円以下とされ、補償は不充分だと判断される。そこで自車の乗員を対象にした人身傷害補償、対物賠償なども含めた任意保険に加入するのが常識になった。
それでも対人賠償の中心は自賠責保険だ。自賠責保険で賠償できなかった範囲を任意保険の対人賠償責任保険が補う。
このうちの自賠責保険料が、2023年4月から値下げされることになった。離島以外の地域では、自賠責保険料は平均して11.4%引き下げられる。小型/普通自家用乗用車が購入時に納める37カ月分は今2万7770円だが、4月の改訂後は2万4190円に下がる。3580円の値下げだ。継続車検時に納める24カ月分は、現在は2万10円だが、改訂後は1万7650円になるから、2360円安くなる。
軽自動車については、37カ月分は現在の2万7330円から2万4010円へ引き下げられる。24カ月分は、1万9730円から1万7540円に下がる。
■自賠責保険料に関しては軽と普通車の差額はあまりない
軽自動車は維持費が安いといわれるが、2023年4月以降に継続車検を受ける場合、24カ月分の自賠責保険料は1万7540円だ。小型/普通自家用乗用車の1万7650円と比べて、110円しか安くならない。37カ月分の差額も180円だから、自賠責保険料については、軽自動車と小型/普通自家用乗用車の差がほとんどない。
ちなみに2010年の37カ月分は軽自動車が2万6280円で、小型/普通自家用乗用車は3万1600円であった。当時は軽自動車が5320円安かったのに、今は差額が大幅に縮まった。
軽自動車と小型/普通車の差額が縮まった理由は、自賠責保険料の収支が変化したからだ。2010年頃は、軽自動車の保険金支出が少ないために保険料も安く抑えていたが、今は増えて、軽自動車の自賠責保険料も上昇した。軽自動車の税金は、ボディサイズやエンジン排気量を小さく抑える代わりに安く設定されているが、自賠責保険料は異なり、保険の収支で決まるのだ。
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