ドライバーの高齢化も労災増の一因?
死傷災害は前年同期より242人の増加となった。増加のペースは前年より緩やかになったが、依然として増加傾向が続いている。件数としては基準年(平成29年)以降の最多を更新し、同年比で16%の増加だ。
事故の型別で最も多いのは「墜落・転落」で、先述の通り死亡災害においては2番目に多く大幅増となったが、死傷災害の件数としては前年比でマイナス235人と大きく減少している。他に「交通事故」や「動作の反動・無理な動作」も減少した。
いっぽう「転倒」や「はさまれ・巻き込まれ」は前年比で100人以上の大幅増となった。「激突され」も大きく増加している。
死傷災害としては荷役作業に関連するものが継続して多く発生しているほか、積雪や路面の凍結などによる転倒災害も増えている。陸災防としては安全講習会や個別的指導を通じてて、これらの防止対策に一層力を入れて取り組んで行く。
トラックドライバーの高齢化が進んだことも、労災の増加にも関係している。
2021年の調査では、大型トラックドライバーの平均年齢は49.9歳、中小型トラックは47.4歳だった。平成元年(1989年)と比較すると、それぞれ+9.6歳/+11.2歳となっており、全産業平均の+5.2歳と比較するおよそ2倍のペースで高齢化している。
高齢ドライバーが増えると、荷役作業中の事故や冬期の転倒災害が増えるのは自明だ。日本全体で高齢化が進む中でのトラック運送業の若返りは期待できないとはいえ、若い人材を確保するための努力とともに、高齢になっても働きやすい労働環境を整えていくことが重要となる。
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