バス車両のメーカーは「いすゞ・日野・三菱ふそう」といったブランドが超有名。しかしバスを構成しているパーツやユニット単位に分けると、普段は裏でひっそり隠れた様々なメーカーが見えてくる!
文・写真(特記以外):中山修一
■バスの座席はどこが作っている?
どんなバス車両にも不可欠な設備である座席。その座席の製造をほぼ専業で担う企業が何社かある。さすがに全部をリストアップするわけには行かないが、中でも代表的なメーカーひとつが天龍工業だ。
天龍工業は富山県にあるメーカーで、高速バスや貸切バス、路線バスなど、バスにまつわる座席全般の開発製造を行なうほか、鉄道用のシートも手掛ける。有名なところでは東海道新幹線のシートが天龍工業製だ。
少しユニークに感じるところでは、大型バスの後方によく設置されているトイレユニットも製品ラインナップに含まれる。
もうひとつの代表的シートメーカーは京都府に本社がある住江工業。こちらは大型高速車や貸切車、マイクロバス用の座席を中心に製造している。
鉄道用シートも得意としており、通勤電車向けのロングシートから特急車用リクライニングシートまで幅広い。JR九州のビートルを筆頭に船舶用の座席も作っている。
■バス用エアコンのメーカー
屋根に載っているエアコン(クーラー)装置もまた、車両本体のメーカーが直接作っているわけではない。最も有名なのが、長野県に本社を置くデンソーエアクールだ。
主に業務用のエアコンを手掛ける空調専門のメーカーで、バス用エアコンでは日本国内でのシェアが最も高いと言われている。
バス用エアコンに力を入れるメーカーに、本社がアメリカのミネソタ州にあるサーモキングが挙げられる。日本法人は東京都にあるサーモキング・ジャパン。
トラックの荷台に取り付ける冷凍装置の製造で世界的に知られているが、日本のバス車両に搭載可能な小型〜大型路線車向けのエアコンも製造している。
さらにバス用エアコンのメーカーとして、三菱重工や富士重工などもある。
■運賃箱のメーカー
路線バスに乗ればほとんどの場合で利用する運賃箱にも専門メーカーが関わっている。トップメーカーの一つが神奈川県の小田原機器だ。
小田原機器では、バス用/鉄道用運賃箱のほかに、整理券発行器やICカードシステム、運賃表示器など、車内での運賃収受にまつわる装置全般を手掛けている。
運賃箱の製造メーカーも多岐に渡り、ほかにもレシップ製などがある。レシップについては後述する。