「すげえ便利!! クルマ界を席捲するか!?」と言われた「ワンペダル」 あんまり増えない長所と短所

ペダルの踏み替えが減るのがメリット、ただ、操作には技量と慣れが必要

 ただ、従来とは全く違う加減速操作となるワンペダルは、市場では賛否両論があるのが現状。以下で、そのメリット/デメリットを考えてみましょう。

 メリットとしてまず考えられるのは、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み替えが激減して、右足の負担が減ることです。日産は、踏み替え頻度が70%、上手く使えば90%減るとしています。疲労軽減だけでなく、急ブレーキ時にアクセルペダルから足を離すだけで強い減速が発生するので、通常のブレーキ操作と比べて、減速が発生するまでにかかる時間が約1秒弱短縮されるため、衝突回避に有効とも考えられます。さらには、油圧ブレーキの使用が減るのでブレーキパッドやローターの摩耗も抑えられます。

アクアの資料。ワンペダルによって、踏み替え頻度が低減するとしている
アクアの資料。ワンペダルによって、踏み替え頻度が低減するとしている

 一方で、アクセルだけで狙い通りの加減速を実現するには、ペダルの微妙な操作が必要なため、技量と慣れが求められることはデメリットといえます。メリットで「右足の負担が減る」と前述しましたが、慣れないうちや操作が苦手な人は、逆に右足が疲れて緊張感で気疲れしてしまうことでしょう。

 またワンペダルで完全停止まで行う場合、狙い通りの位置に停止するのが、難しいということもデメリットです。慣れないと、停止位置を通り過ぎたり、あるいは手前で停止してしまったりで、後続車に迷惑をかけることになります。また、通常はブレーキペダルの踏み込みで行う減速が、ワンペダルではアクセルペダルを戻す操作であることは、全く逆の動作となり、混乱して誤操作するリスクも考えられます。

 このように、ワンペダルを快適と感じる人もいれば、扱いにくいと感じる人もいるなど、ドライバーの技量や慣れによって、真逆の評価となってしまうため、ワンペダルを採用しているクルマは、運転モードの選択などによって、クリープ走行もできる通常の運転操作も選択できるように設定しています。

現行ノートでは、操作性改善のため、完全停止を廃止

 2020年に登場した現行型のノートは、ワンペダル独特の減速フィールの唐突感や違和感をなくしてスムーズに回転が低下するように改良されました。ただ、前述したように、先代で採用されていたワンペダルの完全停止機能が廃止されています。アクセルから足を離すと減速して車速で5km/h程度まで下がりますが、そこからはAT車のクリープのような状態になり、停止するためにはフットブレーキを踏まなければいけません。

 完全停止機能を廃止した理由は、2つ考えられます。ひとつは、(先代のユーザーから挙がっていた)狙ったところに正確に停止するのが難しい、という市場の意見に対応したこと。もうひとつは、減速時に緩くアクセルを戻した場合にブレーキランプが点灯せずに停止することがあるため、事故のリスクを回避するためです(通常、アクセルを戻すとブレーキランプが点灯するが、減速Gがある値以下の場合は点灯しない設定となっていた)。

 ただ、ワンペダルに慣れて快適だと思っていたユーザーにとっては、ワンペダルの良さのひとつを失う、残念なことだったようです。

2020年に登場した新型ノート e-POWER。従来のワンペダルから完全停止機能を廃止したe-Pedal Stepに改良された
2020年に登場した新型ノート e-POWER。従来のワンペダルから完全停止機能を廃止したe-Pedal Stepに改良された

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 効率的に減速エネルギーを得ることができるワンペダルは、今後電動車が増えることで、さらに増えてくることが予想されますが、当面は通常のブレーキ操作のクルマと混在することから、今後も、通常制御とワンペダルをドライバー自身に選択させる方法が続くものとみられます。ただ、もしかすると10年後には、電動車+ワンペダルが主流になっているかもしれませんね。

【画像ギャラリー】快適!? それとも扱いにくい!?? ワンペダル走行ができるモデルたち(35枚)画像ギャラリー

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