スバル WRX STIの20年を検証! S201~S208 日本歴代最強の“S”はどれだ!?

「Sシリーズ」と呼ばれるスバルWRX STIのコンプリートカーシリーズは、どのクルマも魅力的だ。EJ20型DOHCターボエンジンは、ピストンやクランクシャフトなどのパーツをバランス取りし、ECUも専用とした。また、タービンを大径化し、サスペンションなども強化している。

ここでは、モータージャーナリスト片岡英明氏に、歴代のコンプリートカーS201~S208を振り返ってもらった。

スバルとして100年、STIとして30年、そしてWRX STIのコンプリートカーシリーズが20年掲げ続けてきた「愉しさ」の系譜が、ここにはある。

※本稿は2019年1月のものです
文:片岡英明/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年2月26日号


■大人のスポーツセダンの風格が漂うS204が最高!

私が最も気に入っているのは第4弾として2005年に限定発売されたS204だ。S203の進化型だが、走りの実力が高いだけでなく質感にも徹底してこだわった。名門ブランドのパーツを採用しているから、大人のスポーツセダンとしての風格があり、長く付き合うことができる。

●目指したのはグローバルピュアスポーツセダン…S204(2005年発売・片岡採点98点)

S203のコンセプトをほぼ踏襲したモデルで、走りと内外装の質感をさらに追求したのがこのS204。S203のネガな部分をつぶし、足回りにはヤマハとの共同開発によるパフォーマンスダンパーを採用してハンドリング性能を向上させた。600台限定で480万9000円

S203からパフォーマンスダンパーを受け継いだが、ターンイン後の舵のリニアリティが向上し、レーンチェンジの時の揺り戻しも上手に抑えられていた。ハンドリングはより素直で、安定感と直進性も向上している。エンジンはトルクバンドが広がり、扱いやすさを増した。また、S203より乗り心地と静粛性もよくなっている。

これに続くR205もいいクルマだった。S204より走り方向に振り、ニュルブルクリンク24時間レースで培ってきたノウハウを注ぎ込んだ。ボディとサスペンションを徹底的に補強し、フレキシブルタワーバーに加え、リアのブッシュ部をピロボール化した。また、フレキシブルサポートやフレキシブルドロースティフナーも採用する。

●歴代初の“R”を冠したロードゴーイングカー…S205(2010年発売・片岡採点95点)

歴代Sモデルでは唯一のRを名乗っており、「最良のロードゴーイングカー」をコンセプトとしている。新開発のフレキシブルドロースティフナー採用で軽快なハンドリングを実現。400台限定で473万5500円

オーバーハングが短いこともあり、ハンドリング性能はS204の一歩上を行く。サスペンションがしなやかに動き、ウェット路面でも優れた接地フィールを身につけ、しかも正確なハンドリングを楽しめる。ただし、うまく仕上がっているからS204より操っている感が薄いというぜいたくな悩みも……。

日本では最新のS208も気持ちいい走りを存分に楽しめる。ハンドリング精度の高さはシリーズ中のナンバー1だ。エンジンは熟成の域に達し、ボディもサスペンションもシャキッとしているからドライバーの技量に応じて楽しめるし、実力を引き出しやすい。スパルタンすぎない絶妙な味加減で、攻めの走りだけでなくロングドライブも無理なくこなす懐の深さがある。

●歴代最強の329psを発揮!…S208(2017年発売・片岡採点95点)

S207から1psアップの329psを発揮し、カーボンルーフなどを採用。450台限定で626万4000円

S207はパワフルなEJ20型DOHCターボを積み、高回転の刺激は文句なしだ。7000回転を超えてもパンチ力があり、痛快な加速を満喫できる。また、クイックなステアリングギアによって意のままの走りが可能だ。ホディの大きさを意識させない。フロントにブレンボの6ポットブレーキをおごり、速さだけでなく止まる性能も世界レベルを狙った。

●ダンプマチック2も採用…S207(2015年発売・・片岡採点93点)

EJ20ターボは当時、S史上最強の328psを誇った。11:1のクイックステアリングギアボックスを採用。400台限定で599万円

乗り心地もよくなっている。荒れた路面でも足の動きがよく、路面の凹凸を上手に受け流す。ドイツ勢と肩を並べる仕上がりだが、車重は1785kgもあるから軽快感は今一歩の印象だ。かつてのようなキビキビ感は望めない。ただし、希少性は高い。

S206は走りの思想を織り込んだ究極のロードカーとして開発され、送り出された。2LのEJ20型水平対向4気筒DOHCターボエンジンもファインチューニングされ、タービンの軸受け部にはボールベアリングを採用する。ショックアブソーバーも名門ビルシュタインだ。

●ニュルの知見をフィードバック…S206(2011年発売・片岡採点90点)

ニュル24時間レース参戦のノウハウをフィードバックしたモデル。3代目WRX STIセダンをベースにボディチューニングと足回りを熟成することでコーナリング性能を向上。ボールベアリングターボ採用で中低速のトルクも高められた。300台限定で540万7500円

しなやかな走りが売りで、ミシュラン製のハイパフォーマンスタイヤとの相性もいい。ただし、ベース車がコストダウンしていることもあり、インテリアなどは安っぽい。走りの実力は非凡だが、個人的には質感に物足りなさを感じることが、このクルマの評価を下げてしまった。

S203は、乗った時に衝撃を受けたクルマだ。本当はもう少し高い点数でもいいと思ったが、デザインを含め、消化不良を感じる。S204と比べると、子どもっぽいところが足を引っ張った。

●プレミアム性と上質感をプラス…S203(2004年発売・片岡採点 90点

レガシィのS401で培った上質感とプレミアム性を持ち込んだ初のSモデル。ベースは2代目WRX STiの中期型で、ボールベアリングターボや専用ECUで武装。走行性と快適性の両立を目指したモデルでレカロとの共同開発カーボン製バケットシートを装着。開発にはWRCのP・ソルベルグも参加。555台限定で460万9500円

S202は専用のECUを採用し、エキゾースト系にも手を入れている。軽量ボディだからパワーウェイトレシオも優秀だ。リニアにパワーとトルクが盛り上がり、軽いから加速も冴えている。だが、この時代にはタイプRAスペックCがあり、コンペティションモデルの味わいは、スペックCに及ばない。

●驚異のパワーウェイトレシオ4.15kg/ps!…S202(2002年発売・片岡採点85点)

競技ベースの2代目WRX STiタイプRAスペックCベースにストリートでの走行性能を追求したマシン。専用ECUとインターダクト&エアダクトホース、専用チタンマフラーの採用で320㎰を誇った。400台限定で360万円

S201はSシリーズの最初の作品だ。GC8型インプレッサをベースにした唯一のSシリーズだからコレクターズアイテムとしてはいい。が、これ以降のSシリーズと比べると走り、デザインともに洗練度は今一歩にとどまる。個性は際立っているが、試行錯誤の作品と感じられた。直球勝負の面白さはある。だが、パフォーマンス、ハンドリングともに荒削りだ。

●究極のオンロードスポーツ!…S201(2000年発売・片岡採点80点)

初のSモデル。STIが初代インプレッサSTiバージョンⅥをベースにオンロードスポーツを追求。鍛造ピストン、専用ECUなどを採用したほか、レースカーを彷彿とさせる前後のバンパー、リアのダブルウイングスポイラーなどが印象的。300台限定で390万円

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