アメリカントラックと言えば角ばったボンネットトラックを思い浮かべる人は多い。その象徴となっているのがケンワースの「W900」トラックで、実に60年以上も販売を続けているロングセラーだ。
ケンワースは2023年に創立100周年を迎え、特設サイトを公開するとともに、同社の代名詞であるW900や主力モデルとなっているT680の特別モデルの提供など、各種キャンペーンを展開している。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Kenworth Truck Co.
ケンワースの100年
アメリカ・ワシントン州のトラックメーカー、ケンワースは2023年で100周年を迎える。これを記念して「ケンワース100」と題したスペシャルサイトを開設し、同社の歴史やヒストリックモデルを紹介するとともに、限定モデルやグッズの販売など各種キャンペーンを行なっている。
ケンワースの前身となるガーリンガー・モーターカーは1912年の創業だが、同社を譲り受けたエドガー・K・ワーシントンとハリー・ケントが、二人の名前を合わせた「ケンワース」(Kenworth Motor Truck Company)を創立したのは1923年の1月だった。
同年3月、ケンワースとして最初のトラックを販売する。当時の非力なガソリンエンジン車では困難であった、不整地(林道)での原木輸送をトラックで行なう事を目指したもので、これによりアメリカ西部の林業関係者から信頼を勝ち取った。
他社に先駆けて標準化したディーゼルエンジンや、ドライバーが横になって仮眠を取れる「スリーパー」キャブの設定など、新技術を積極的に取り入れている。
1940年代、鉄道・林業用機械からトラックの製造に参入したパシフィック・カー&ファウンダリ(後のパッカー)に買収され、今ではピータービルト(アメリカ)、ダフ(オランダ)、レイランド(イギリス)などと共に、世界有数のトラックグループの一員となっている。
ケンワースが1961年に発売したW900トラックは、60年以上が経った現在でも販売されており、オーナーオペレータ(自らトラックを購入して仕事をするドライバー)を中心に高い支持を集める。まさにクラシックなアメリカントラックのアイコンだ。
とはいえアメリカの大型トラックで主流となっているのは空気抵抗を低減し燃費に優れたトラックで、ケンワースでも今の主力はエアロダイナミックモデルのT680となっている。
また、北米トヨタやシェルなどと共同で燃料電池大型トラックの長期実証実験を2019年~2022年にかけて行なったほか、2021年にはバッテリー電気式の大型トラックをラインナップしている。
創立100周年を迎えても変わらないのは、「ケンワースらしさ」とは仕事のための頑丈なトラックを作る事という哲学だ。100年に一度といわれる変革の時代に100周年を迎えたケンワースは、イノベーションで次の100年に踏み入れようとしている。