「レクサスらしさ」を意識しながらも、今後必須になる装備を早い段階で取り込む
バッテリーEVとしての完成度の高さは、まさに期待値通りの水準だったRZ。バッテリーEVでヨーク型ステアリングホイールを採用するなど、新しいものが好きなユーザーに向けてつくられたモデルかと思ったら、そうではなかった。
RZの開発主査である渡辺剛氏(ちなみにUX300eの開発主査でもある)によると、「バッテリーEVは、いまはまだ流行に敏感な方々に求められる傾向にありますが、RZはそうした層にターゲットを絞ったというよりも、レクサスが(専用モデルとして)初めて出すバッテリーEVモデルとして、レクサスのファンのことを考えて開発し、レクサスの未来を象徴する「羅針盤」となるために、(幅広いカテゴリをカバーできるよう)ミッドサイズでつくりました。SUVというよりも、レクサスらしいカッコ良いデザインを狙ったのも、RZの魅力のひとつとして考えています。」という。
ベンチマークとしては、テスラモデルYやメルセデスEQCなどをみたそうだが、直接のライバルとしたのは、NXやRXなどのレクサスの既存のラインアップだというのは、興味深かった。そのため「レクサスらしさ」には、特に意識して開発したそうだ。
この「レクサスらしさ」について、渡辺氏は、「デザインのカッコ良さ」と「クルマの走り始め」にあるという。スピンドルボディをはじめとした雰囲気と、タイヤが転がり始めた瞬間に感じられる質の良さは、レクサスがこだわってきた領域だそうで、レクサスは常に「ドライバーが気持ちよく走ること」を研究してきたという。
ヨーク型ステアリングホイール(を可能とするステアバイワイヤの技術は)、今後訪れるはずの自動運転社会では必須の技術であり、今後さらなる進化を求められる技術だ。ヨーク型ステアリングホイールを早い段階で実用化した背景には、市場反響からの価値検証に加え、未知の課題を浮き彫りすることで、次世代型ステアバイワイヤの開発にも多く反映したい、という意図があったのだろう。
こうした今後必須となる技術もうまく取り込みながら、レクサス車に乗り込んだ瞬間の安堵感、落ち着き、走り出した瞬間の満足感、優越感、楽しさ、こうした感性に訴える部分を共通化させて、次作以降のレクサスの新型バッテリーEVにも盛り込んでいき、そこからレクサスファンを惹きつける。これが、レクサスがRZでやりたかったことであり、レクサスが見据える未来なのだろうと筆者は感じた。
インテリアの艶やかさは、もうちょっと欲しかった!!
バッテリーEVというパワートレインの恩恵(静粛性と滑らかな発進時の加速感)もあり、レクサスラインアップのなかでも、ひと際走り出しの味付けは決まっていたと感じた、RZ。ドライブする面白みは十二分にあると感じたが、「中身」が素晴らしいだけに、残念に感じたのがインテリアだ。
もちろん、機能面は文句ない(広さも十分、車内は明るく解放感も高い)のだが、他のラグジュアリーメーカーが実践しているようなダッシュボード素材やイルミネーション加飾といった、(無駄ではあるのだが)雰囲気つくりには抜群の効果が得られるものがRZには見当たらず、色気や艶やかさという面で、若干物足りなさを感じる。レクサスとしても、こうした部分においても研究を続けているそうで、ユーザーの反応を見ながら、今後も検討を続けていくという。
レクサスが狙う未来を象徴するモデルであるRZ。世界の強豪メーカーを相手に、善戦する姿を今後も応援していきたい。
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