列車では各駅に止まる便と通過駅を飛ばして早く着く便を、「普通」や「特急」といった「種別」を付けて違いが分かるようにしている。では、バスにも列車のような種別はあるのだろうか?
文・写真:中山修一
■やっぱり区別していた?! 速達タイプのバス
路線バスは始点から終点まで、途中全部の停留所に必要とあれば停車していく印象が凄く強い。ただし、電車と同じく早く着くことを目的にしたバス便も全国に結構ある。
各地で運行している速達タイプのバスを確認してみると、全停留所に立ち寄る便との違いを強調させるべく、やはり何らかの種別が付けられていると分かる。
昔の国鉄のお作法に則ると、普通、準急、快速、急行、特急が列車の主な種別だ。一方のバスでは、準急、快速、急行、特急の4種類が、全国にある複数のバス事業者で使われている基本の種別と言える。
国鉄の準急は1960年代に姿を消し、急行も定期列車はゼロ。JRになぞらえると、現在のキホンは実質、普通・快速(新快速などを含む)・特急の3種類しかないが、それでも雰囲気は電車とバスとでよく似ている。
電車との違いは「普通」の種別がバスには殆どない点だ。鈍行、各停、各駅など色々な呼び方をする電車の反面、「普通バス」や「鈍行バス」のような言い回しはあまり聞いたことがない。
時刻表に種別の項目があっても、全停留所に立ち寄る便の時刻の該当箇所はブランクになっていることが多い。「各停」の種別を設けているバス事業者もなくはないが、意外とレアだ。
前述の通り、路線バスは全部の停留所に停まるのがあまりにも一般的なため、わざわざ利用者向けに普通だと明記する必要がないのかもしれない。
■ところでどの種別が一番速いのか
国鉄風に言うと、大体ではあるものの所要時間がかかる順に、普通→準急・快速→急行→特急になる。バスもほぼ同じ要領で、準急・快速→急行→特急の順だと思っておけば概ねOKだ。
ただしこれはあくまで教科書通りに述べた場合で、特急並みに速い快速があったり、急行なのに普通と大差なく停まる便があるのも電車と一緒だったりする。
国鉄の列車の場合、準急、急行、特急には運賃のほかに優等列車料金がかかり、特急が最も高額になる。
一方のバスはどうかと言えば、特急でも快速でも運賃に含まれているか料金不要かのいずれかで、表立って運賃とは別の料金がいくらか記載されている例は珍しい。