主に途中のバス停留所には、ベンチが置かれているものと、そうでないものがある。どんな条件が有無の境界線になるのだろうか。
文・写真:中山修一
■スペースと地形が大前提
停留所を作るなら、そこが乗降場所であるのを示すバス停標識が必要だ。まずバス停標識を立てる位置であるが、もちろん車道の内側はNGで、自ずと道路脇か歩道の上ということになる。
背丈こそ2m以上あるものの、地面に埋め込む標準タイプのバス停標識なら30×30cmくらい、コンクリートの台が付いた移動式標識は大体50×50cmのスペースが最低限確保されていれば置けるため、割とコンパクトに収まる。
バス停標識が簡単に設置できても、ベンチとなると標識よりずっと広い設置面積が要求される。置けるだけの場所がそもそもなければ、その停留所は最初からベンチなし確定だ。
また、停留所の置かれた箇所が坂道だった場合、ベンチが滑り台になってしまっては大問題なので、ベンチ用の基礎工事を施していない限り、バス停標識のみになる。
■法律と手を組む道幅!?
では、フラットな地形でベンチ用のスペースを確保すれば、道路両脇の白線の外側または歩道上にベンチが無事併設となるのだろうか。
ここで可否を左右するのが、バス停標識が立っている道路脇/歩道の幅だ。設置面積さえ取れればベンチを自由に置けるのではなく、何と法律で条件が決まっている。
国が定める基準に則ると、ベンチを置いた上で、人の往来に使える道幅が2m以上ないとNGになってしまうのだ。なお、ベンチの向きにもよるが、座っている人が投げ出した脚の長さは加算しなくて良いらしい。
もし歩道の幅が極めて狭い場所のバス停にベンチを置くには、坂道と似た要領で、歩道の外側にベンチ用のスペースを作る必要があるわけだ。
■広けりゃ何でもアリ!! というわけでもなかった
フラットな地形で設置スペースや歩道の幅も十分となれば、晴れてベンチ付きバス停が雨後の筍のごとく誕生するのかと思いきや、そう簡単には行かない。
乗合バス事業者なら経路上のどこにでもバス停が作れて設備盛り放題、などというミラクルな特例はなく、国の許可を得る必要があるほか、その道路の管理者・周辺の住人と擦り合わせを行うのが基本となっている。
許可を得た上で、道路管理者や周辺住人との調整も完了すれば晴れてベンチ付き停留所への道が開ける。その逆なら推して知るべしだ。