「死ぬときはあのクルマに乗っていたいなぁ……」クルマ好きの中高年なら、きっとそんなことを考えたことがあるはずだ。現実的な話、還暦を超えて買うクルマは、「人生最後の一台」という覚悟を持って選ぶ必要がある! すでに60代、あるいは間もなく60代のあなた! あなたは最後の一台に何を選ぶ!?
※本稿は2023年2月のものです
文/清水草一、写真/ベストカー編集部、トヨタ、日産、マツダ、三菱、スバル、スズキ、テスラ、ヒョンデ
初出:『ベストカー』2023年3月26日号
■タイプ1:死ぬまでコッテリ系
若い頃は「人生の最後に食べたい料理は松阪牛のステーキ!」みたいなことを思うものだが、実際に60歳を超えて、同じことを思い続けられる者は、もはや勇者である! 同じく60歳を超えて、コッテリ味の濃厚パワフルなガソリン車を欲する者もまた勇者だ!
人生最後のコッテリ系ガソリン車には、大きく分けて2種類ある。ひとつは、シビックタイプRのような、MTのラスト(?)物件。買っても普段用には乗らず、人生の記念碑として取っておきたいタイプだ。
クルマ好き的には、こちらが多数派かもしれない。ただし、新車・中古を問わず、多くのモデルが入手困難になっている。
もうひとつは、普段の足として使うATのハイパワーガソリン車だ。例えばクラウンクロスオーバーRSや、レクサスLC500は、経済的に余裕のある中高年のラストを飾るのにふさわしい。マニアック系では、WRX S4もステキな選択だ。
そういったコッテリ系のガソリン車を買えるのも、あと10年かそこら。だが、自分がクルマの運転を続けられるのも、同じくそれくらいかもしれない。
ならば、いまコッテリ系に乗らずにいつ乗るのか! 今乗らなければ来世では乗れないぜ! 今こそガソリン好き魂を燃焼させ尽くせ! 急げ中高年カーマニア!
■タイプ2:最先端突っ走り系
一見コッテリ系ガソリン車の対極に位置するようで、心情的には同じく濃厚なのが、最先端突っ走り系だ。中核はもちろんEV。パワフルゾーンに属する中高年エリートは、「いずれEVの時代が来るのなら、先取りして一台買っておこう」と考える。
EVと言っても軽EVのサクラ/eKクロスEVではなく、スタンダードクラス以上のEVである。いち早くEVを取り入れ、完全自動運転が実現すれば、それを味わってからお墓に入ろうという欲張りプランだ。
現在、EVの最先端は、独自の高速充電ネットワーク「テスラスーパーチャージャー」と、車載ソフトウェアの無線アップデート機能を持つテスラである。
テスラなら、専用の高速充電器で時間無制限に充電可能。その優越感は、他のEVを寄せ付けない。まさに最先端のエリート向き!
ただ、事情通のエリートは、あえてヒョンデのアイオニック5を選ぶかもしれない。クルマ自体のデキは、テスラモデル3よりアイオニック5が若干リードしている。あえて日本でブランドイメージの低い韓国車に乗るのが通、というスタンスもある。
国産勢は、EVでは輸入車勢に対抗できるタマが正直なところ「ない」と言っていい。日産リーフで築いた優位性は、過去のものとなった。
となれば国産の最先端は、プリウスPHEVではないだろうか。実際の環境負荷はEVより軽い! つまりこっちこそが最先端! と言い張ることも、できるハズだ。
コメント
コメントの使い方どれもいいっすね